仁川国際空港の免税店ビジネスを巡っては、ホテルロッテとホテル新羅が激しく争ってきた。今回の入札もこの2社が入札の中心となった。

 今回の入札は、12区画、総面積が1万7000平方メートルの店舗の運営権が対象だった。

 ふたを開けてみれば、ホテルロッテが4区画、ホテル新羅が3区画、新世界が1区画、化粧品中堅メーカーが1区画を獲得し、「中堅・中小企業向け」の3区画は流札となった。

「ロッテの圧勝」と言われる理由

 一見すれば、ホテルロッテとホテル新羅の「引き分け」のようにも見えるが、韓国メディアは一斉に「ロッテの圧勝」と報じた。

 というのも、ホテルロッテが空港ターミナルの中で最も人の行き来が多い区画の店舗運営権を「総ざらい」したためだ。

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空港にはめったに出店しないルイヴィトンはホテル新羅社長がトップセールスで誘致した(写真は香港の店舗)〔AFPBB News

 特に注目を集めたのが、5区画と8区画。5区画は、「ルイヴィトン」の店舗がある。仁川国際空港公団は、この区画の落札業者は「ルイヴィトン」の店舗を運営すると定めている。

 空港にはめったに出店しない「ルイヴィトン」については、ホテル新羅の李富真(イ・ブジン=1970年生)社長がトップセールスで誘致した。

 李富真社長は李健熙(イ・ゴンヒ=1942年生)サムスングループ会長の長女である。今回も、この区画の落札を狙ったが、ホテルロッテにさらわれてしまった。

 8区画は、搭乗口のすぐ近くにあり、取扱品目を店舗側が自由に選べることから、どの企業も落札を狙っていた。

 この他にも、空港ターミナルの中心部に近い区画をホテルロッテが抑えた。

 最も利益率が高いと言われる酒、たばこ類の免税店は、ホテルロッテとホテル新羅が1店舗ずつ落札した。ロッテはこの点でも抜かりはなかった。

 「入札競争」は確かにホテルロッテが圧勝したと言えなくもない。ただ、韓国メディアが報じた「落札額」は驚くべき金額だった。