現代自動車グループの開発計画模型(ソウル市が発表した報道資料)

 「大きいこと」と「一番」が大好きなことが韓国財閥の急成長の原動力だが、その真骨頂とも言える計画が明らかになった。現代自動車グループがソウルの中心部に10兆ウォン(1円=9ウォン)で取得した土地に115階建ての超高層本社ビルを建設するという。

 現代自動車の鄭夢九(チョン・モング=1938年生)会長はやはり、韓国の大物財閥総帥なのか。世の中の批判や懸念などまったく気にしないかのように、今回も「どかん!」と大型計画をぶち上げた。

批判なんてどこ吹く風、事前予想を上回る壮大な計画

 2014年9月末、現代自動車は旧韓国電力公社の本社建物、敷地を10兆ウォンで競り落とした(2014年9月24日付「現代自、『10兆ウォン』でサムスンに圧勝」参照)。グループ本社、系列企業本社、研究所、自動車展示場、コンベンションホール、ホテルなどを建設して「自動車を中心とした巨大複合ランドマーク」を作る構想だとの説明だった。

 「10兆ウォンも使って・・・」

 韓国電力本社の買収に対しては、証券市場では否定的な見方が多かった。自動車業界の競争が厳しくなる一方なのに、不動産取得に巨額の資金を使うことへの懸念からだった。現代自動車などの株価は一時、急落した。

 そんな社外の声にも、現代自動車グループは微動だにしなかった。「もうこれだけまとまった土地はソウルの一等地では出てこない。事業上も絶対に必要だ」という立場を崩さなかった。

 2015年1月30日、現代自動車グループはソウル市に、開発計画を提出した。その内容は、事前の予想よりもさらに壮大だった。

 広大な敷地の中心部には、現代自動車グループ企業の本社などが入る超高層ビルを建設する。その規模は何と115階建て。7階分の低層階には、自動車関連のテーマパークを建設する。

 そのすぐ隣にもう1棟の高層ビルを建設する。こちらは62階建てだ。7階分のスペースに自動車販売・展示場とコンベンションホールも併設する。62階建てのビルには、大型ホテルを誘致する計画だ。

 現代自動車グループは、2017年に着工し、2020年に完成させる計画だ。