ソウルで高級ホテルや、大企業が密集する超一等地の広大な土地が売りに出た。韓国財閥の1位、2位であるサムスングループと現代自動車グループがそろって買収に名乗りを上げる公算が大きい。「ソウル最後の黄金の土地を巡る激突」と韓国の産業界では高い関心を集めている。

 焦点の土地は、ソウル南部の江南にある韓国電力公社本社。地下鉄三成(サムスン)駅のすぐ近くで、国際展示場「COEX」と複合商業施設、2つのインターコンチネンタルホテル、高層オフィスビル、現代百貨店、空港バスターミナルなどが隣接している。

ソウルの超一等地の広大な土地を巡る入札劇

史上最大の買収戦が始まったソウル中心部にある韓国電力本社

 徒歩圏にポスコ本社など大企業のオフィスビルも多い。

 百貨店、複合商業施設はイメージもよく、流動人口も多い。

 さらに、ソウルから近郊地域への広域急行列車(GTX)の始発駅が三成駅にできる。

 ソウル市は、韓国電力本社と「COEX」一帯、さらに近くにある野球場、運動場までの72万平方メートルにも及ぶ広大な地域を「展示・観光・エンターテインメント国際交流複合地区」に指定し、大規模再開発事業を進める計画を打ち出している。

 ソウル五輪でも使用した野球場や運動場が老朽化したため、この一帯を含めて総合的に再開発する計画だ。

 こんな超一等地で、今回売りに出たのは面積が7万9342平方メートル、サッカー場12面にも相当する広大な土地なのだ。

 韓国電力は、政府の地方振興策の一環で韓国南西部の全羅南道羅洲(ナジュ)に本社を移転することが決まっている。2014年11月にも本社機能を移す予定だ。

 2014年8月29日、韓国電力は本社移転計画に沿って、本社用地、建物の売却の競争入札を実施すると発表した。

 この土地の公示価格は1兆5000億ウォン前後(1円=10ウォン)。鑑定評価額は公示価格の約2倍の3兆3346億ウォンだ。韓国電力は、鑑定評価額を基準に「予定提示価格」を算定し、これを上回り、最も高い価格を提示した入札者に売却する。

 「これほどまとまった土地がソウルの超一等地で売りに出ることは当分ないだろう」(韓国紙デスク)と言われるほど注目を集めた入札劇が始まったのだ。