2014年8月26日、かつて韓国ナンバー2の財閥だった大宇(デウ)グループの創業者、金宇中(キム・ウジュン)氏の回想録が韓国で出版された。
15年前の解体劇について初めて本人が詳細を明らかにしたほか、北朝鮮との秘密接触、サムスングループとの幻の「ビッグディール」(事業交換)交渉などについて語っており、韓国の産業界でも話題となっている。
金宇中氏は、出版に合わせて8月26日に滞在先のベトナム・ハノイから帰国し、大宇グループの元幹部などとの会合に姿を見せた。この席で、「過ぎ去ったことに恋々とする気はないが、私たちがしてきたこと、私たちの主張について正当な評価を受け、大宇解体が正しかったのかどうか、明確にしたい」と述べた。
短い挨拶の途中で、涙を見せ、「大宇解体劇」への無念さをにじませた。
この日、出版された本は『金宇中との対話』。韓国の大手経済紙の「毎日経済新聞」出身であるシンガポール大学教授が、150時間のインタビューを対談方式でまとめた。
448ページとかなりの分量だ(1万6000ウォン、1円=10ウォン)。発売と同時に買ってきて、じっくりと読んでみた。
「後発組」ながら、一時は韓国ナンバー2の財閥だった大宇
ざっと内容を紹介する前に、大宇グループと金宇中氏について簡単に説明する。
下の表は、1999年4月に韓国の公正取引委員会が発表した韓国の財閥資産規模ランキングだ。金額は資産規模で、単位はウォンだ。
(1) 現代 88兆8060億
(2) 大宇 78兆1680億
(3) サムスン 61兆6060億
(4) LG 49兆5240億
(5) SK 32兆7660億
この通り、大宇が当時、サムスングループよりも規模が大きい韓国ナンバー2の財閥だったのだ。
この大宇の創業者が金宇中氏だ。同氏は1936年生まれ。サムスン創業者の李秉喆(イ・ビョンチョル=1910年生)氏や現代創業者の鄭周永(チョン・ジュヨン=1915年生)氏よりも20歳以上年下だ。
延世大学経済学科を卒業後、1960年に留学準備のアルバイトのつもりで貿易会社で働き始めたのがビジネスを始める契機になった。
貿易業の面白さを知って1967年に大宇実業を設立して独立した。現代やサムスンと比べて30年ほど遅い創業だ。金宇中氏が大宇実業を設立した時には、現代やサムスンはすでに韓国を代表する財閥として急成長していた。