──アメリカのシェールガス開発事業者は赤字のところが多いと聞きますが。

岩瀬 確かに今、シェール開発の経済性は悪くなっています。天然ガスの価格は2008年頃に8ドル/100万BTU(熱量単位)あったのが、2ドルを割るまで下がってしまった。今は戻って4ドルくらいですが、この価格の低さが経済性を悪くしています。

 だから、今、シェール開発に取り組んでいる事業者は、ガスじゃなくてできるだけ石油の方を掘ろうとしているんです。リグ(掘削機械)の稼働している台数も、ガス用のものは減って石油の方が増えています。それは経済性を考えたら当たり前のことだと言えます。

 ただし、アメリカでは、ここ数年でシェール革命によって安価なエネルギー資源を潤沢に使えるようになったことは事実です。シェールを含む石油の生産量は、2013年には2005年よりも約45%増加しています。ガスも約35%増えています。自給率も石油が約53%、ガスは90%を超えました。

 21世紀はアメリカの力が低下すると言う人がいますが、僕は「本当かな」と思っています。シェール革命のおかげで、アメリカはまた国力を高めていくんじゃないでしょうか。