──地中の状態によって採掘コストはそんなに大きく変わってしまうものですか。

岩瀬 岩のなかに石油やガスどれだけあるか、集めやすいか集めにくいか、どれくらいの深さのところにあるかなどで、コストは大きく変わってきます。深ければ掘削パイプを多量に使用しなければならないので、当然コストがかさみます。

 特にシェール層は岩が固いし、また、岩の中に閉じ込められている石油やガスの密度が在来型の地層より薄く、回収できる量が少ないんです。だから、掘る井戸の数も多くなるし、コストが膨らみやすい。石油やガスをいかに効率的に集めるかがカギとなります。

──住友商事じゃなくても、こういう結果になってしまう可能性はあった。

岩瀬 もちろんあります。石油開発ですから。

「資源量」と「埋蔵量」は違う

──シェールオイルやシェールガスは世界中にたくさんあると言われています。けれども、簡単に取り出せるわけではないということですね。

岩瀬 「シェールオイル、シェールガスが世界中にあるからエネルギーは安心だ」みたいな論調があります。でもそうした見方には根本的な誤りがあります。資源量と埋蔵量をごっちゃにしているんですよね。

 シェールオイル、シェールガスがこれだけあるという情報ソースはほとんどすべてアメリカのエネルギー省が発表している数字です。実は、その数字は「技術的に回収可能な資源量」として発表されているんです。それがいつのまにか「埋蔵量」として報道されてしまっている。

 おおざっぱに言うと、資源量とは、地中に存在するすべての炭化水素量のことです。この「技術的に回収可能な資源量」のうち、通常の方法で経済的に生産が可能なものを埋蔵量と言います。

──「経済的に生産が可能」とはどういう意味ですか。