日本伝統の木製の人形、こけしがヨーロッパで注目されていると言ったら驚くだろうか。
イラストレーターのアンヌロワ・パロ(Annelore Parot)さんが描く、こけしを登場人物とした絵本やカレンダー、文具といったこけしグッズが人気を得たり(詳しくはこちら)、スーパーやデパートではこけしのキッチンタイマーやこけし形の缶などが売られたりと、とにかく、こけしをモチーフにした商品が続々と登場している。
ちなみに、リヨンの恒例人気イベント光の祭典(Fête des lumières)では、2012年、アンヌロワさん作の7体のこけしライトが展示され、注目を集めた。
こうしたこけしデザインの商品が市場に出回っているのだから、本来の人形の方だって注目を浴びてもいいはずと思ったら予想は当たった。パリで、日本製のこけし人形を販売するショップ「Kokeshi et Designertoyz」を見つけた。大きな木製の棚に、ぎっしりと何十体もの日本製のこけしをディスプレイした店内で、従業員のアレクサンドル(Alexandre)さんに詳しい話を聞いた。
こけしに日本が象徴されている!――こけしコレクターも増加
「日本らしさを感じるものはいろいろありますが、こけしは、ものすごく日本的だと思いますね。とても繊細だし、とても美しい。すごくクールですよ。それに日本の伝統が詰まっていますからね。いま、こけしのことをインターネットで調べれば、こけしの歴史や技法などについてたくさんの情報が見つかります。
だから、日本が好きとか日本に興味を持っている人たちが、どんどん、こけし人形やこけしグッズを買うようになっているのだと思います」
そう話すアレクサンドルさんは、この店を設立したセドリック・トマ(Cédric Thomas)とダビッド・トマ(David Thomas)兄弟とともに、日本から輸入したこけし人形や、こけしに魅了されたオーストラリア人デザイナーが手がける「Kimmidoll」という名の様々なこけしグッズを販売している。
「扱っているこけし人形は一部が中国産で、あとはすべて日本製です。昔ながらのデザインから、現代風のものまで取り揃えています。店内には飾りきれないので、すべてを出していません。お客さんが、うちのオンラインショップで見て、お目当てのこけしを買おうとここに来て、あれ、ないなと思っても心配いりません。地下の倉庫にすべて揃えていますから。
あちらに置いたコンピューターで常にオンラインショップを表示していますので、お客さんに探してもらって、これを見せてと教えていただいたら、すぐに倉庫から持ってきます」