ニッケイ新聞 2014年7月1日
ワールドカップの観客は「白人の富裕層」が圧倒的に多かった。
この結論は、ブラジルの調査団体ダッタフォーリャが6月28日にミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンテのミネイロン・スタジアムで行なわれた「ブラジル対チリ戦」を観に訪れた693人に対して行なったアンケート調査から導かれたものだ。
ブラジルの人口で最も多いのは褐色系の41%で、白人は2番目の39%、黒人が15%と続いている。
だが、今回の調査の回答者でもっとも多かったのは白人で、実に3分の2にあたる67%と圧倒的だった。続いては褐色系が24%。黒人はわずか6%に過ぎず、アジア系に至ってはわずか1%。さらに先住民は誰もいなかった。
また、アンケートに答えた人の最終学歴では、「大学(相当)」が86%にのぼり、「高校」の13%に大きく水をあけた。「中学」と答えた人は1%だった。
所得別で見てみると、最も多かったのは「月給が国の定める最低賃金の10~20倍」の層の30人で、「5~10倍」が23人で続き、「20~50倍」が21人となっている。ブラジルの場合、「最低給与の2倍」以内の月給の人が国民の42%にあたる。
ワールドカップのチケットに関しては、高い価格設定を求めてくるFIFA(国際サッカー連盟)に対し、中流以下の人が行けるよう、政府が極力価格設定を抑えようとしたため、座席によってはかなり安価で買える部分もあったが、今回のアンケートで見る限り、スタジアムに姿を見せたのは高学歴の富裕層が圧倒的に多く、政府にとってはあまり嬉しくない結果になった。
ジウマ大統領による労働者党(PT)政権は、前任のルーラ大統領以来、低所得者層に高い人気を誇っているが、高所得者層からの支持がそれに比べて劣ることでも知られている。それはここ数年の経済低成長とインフレ上昇でさらに顕著になりつつあるが、それはこのスタジアムの観客も同様で、55%の人が現政権の政治を「悪い」と答えている。
一方、政権評価の低さは公的場面での為政者への野次肯定とは別の問題で、アンケートに答えた人の61%は、6月12日にサンパウロのイタケロン・スタジアムで行なわれた開幕試合でのジウマ大統領に対する野次は「あるべき行為ではなかった」と答えている。
(6月29日付フォーリャ紙、アゴーラ紙より)
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