先週は1つのテーマに集中することなく、様々な分野の記事がよく読まれた。1位は英フィナンシャル・タイムズ紙のアジア総局長、デビッド・ピリング氏による「安倍首相を望んだことを悔やむ米国政府」。米国としては、日本の長期安定政権は長らく望んできたものだったが、安倍晋三首相の行動力の高さが、米国の予想をはるかに上回ってしまい、困惑し始めているという指摘である。
米海軍の現役大佐が中国による日本侵攻もあると指摘
米国は日本に対してこれまでのような自分に都合のよい対応は難しくなり、旗幟鮮明にしなければならなくなるだろうという。
つまり、日本が軍事費を拡大することを認めるか、あるいは日本を確実に守るとはっきり宣言するかを迫られているというのだ。
米国については、海軍のファネル大佐の発言が大きな波紋を投げかけた。中国軍が日本の尖閣諸島などへ奇襲攻撃をかけてくる可能性があるとの指摘だ。
それを扱った記事が7位の「中国軍が対日戦争準備情報の真偽は?足並みが揃わない最前線とペンタゴン」と11位の「『中国は尖閣諸島急襲の準備を始めた』波紋を呼ぶ米海軍現役軍人の発言」である。
そういう可能性を指摘したのであって、明日にも中国軍が攻めて来る可能性は低いが、何も対応しないままにしていると懸念が現実になる危険性があることも事実だ。
これ以外の記事では、ウクライナへの軍事介入を検討しているロシア関連の記事も読まれている。
10位の「燃え上がるウクライナ:プーチンの地獄の大火」と19位「重大局面を迎えたウクライナの危機」、20位「社説:キエフと欧州の出番」である。
ロシアの出方次第では欧州情勢はかなり緊迫する危険性がある。そして世界経済への波及も避けられないだろう。
一方、20位までのランキングには入っていないがFT紙のデビッド・ピリング氏による「タイが次のウクライナのように見える理由」も面白い記事だった。タイがウクライナのようになる危険性を指摘したものだ。
ただし、この記事が出たあと、タイでは反政府運動の主導者であるステープ元副首相が、多くの死傷者が出たことで主だった交差点の封鎖を解除すると発表している。ウクライナのようになる危機は一応回避できたようである。
もう1つの注目記事は東京大学の伊東乾准教授による「アンネの日記を破った許されない“日本人”」。いまだに誰が破ったのか分かっていないが、世界的に日本人の風評を落とそうという犯罪は、破ったという事実よりも重い。一日も早く犯人を見つけてほしいものである。