“パンパン”になりやすい塩好き日本人の血管

再入門、塩分と血圧の危うい関係(前篇)

2014.02.21(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

 日本人が欧米に行くと、出される料理のボリュームに驚く。だが、欧米人が日本に来たときも、出される料理に驚くことがあるという。味のしょっぱさについてだ。

 日本は世界のなかで国民の塩分摂取量の多い国である。厚生労働省が2013年12月に発表した「平成24年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、1日あたりの塩分平均摂取量は男性で11.3グラム、女性で9.6グラムだった。欧米での近年の1日あたり摂取量は男性10.4グラム、女性7.3グラムというから、やはり日本人は塩好きのようだ。

 塩分摂取が心配のタネになるのは、高血圧や脳卒中などのリスクが言われているからだ。都合の悪いことに、高血圧には自覚症状がほぼなく「塩分摂取が高血圧につながる」というプロセスはいまひとつ実感しづらい。塩がどのように血圧を高めるのだろうか。

 今回は、塩分摂取と高血圧や脳卒中といった病気の関係を見ていきたい。高血圧の専門家である東京都健康長寿医療センター顧問の桑島巌氏に話を聞いた。

 前篇では体に摂り込まれた塩分がどのように血圧を高めるのか、その理論を聞いた。後篇では、いかに工夫して減塩をするかの実践的アドバイスを聞くことにしたい。

減塩すれば高血圧や脳卒中は減る

──塩分摂取と高血圧や脳卒中との関係についてお聞きします。

桑島巌氏(以下、敬称略) 高血圧のうち、原因がホルモン異常などの明確になっているタイプは5%ほどしかなく、圧倒的に多いのは、原因が複合的なタイプです。

 では、その複合的な原因はなにかというと、遺伝が大いに関係していることは疫学的に分かっています。ほかに、食事、ストレス、肥満、体調異常など様々な原因がありますが、これらのなかで最も関係が深いとされているのが塩分です。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


食の万華鏡

食の安全に対して国民の関心が高まっている。今後、安全で美味しい食の供給国としての日本を考えた時にもこの問題は重要になる。食の安全の話題を中心に、食トレンド、食品マーケットなど、食にまつわる様々なテーマを取り上げる。