オバマ政権は安倍晋三首相の靖国参拝に「失望」を言明した。しかし、それに真正面から反対した議員がいる。米国議会上院の共和党有力議員マルコ・ルビオ氏である。米国は靖国などのアジアでの歴史問題には関与すべきではない、という主張だった。安倍首相の靖国参拝への米国の対応は、オバマ政権の「反対」だけではないことが改めて証された。

 ルビオ議員は共和党の気鋭の人気政治家で、2016年の大統領選挙での同党有力候補の1人とも目されている。同議員は上院外交委員会の東アジア太平洋問題小委員会の共和党側筆頭委員である。つまり日本や中国について審議する上院小委員会の野党トップの議員なのだ。

 そのうえルビオ議員と言えば、いま米国政界全体で高い知名度と人気度を誇り、若手とはいえ大物の政治家である。

 キューバからの難民を両親に持ち、貧しい家庭で苦労して育ち、高等教育を受けて弁護士となった。そして2010年にフロリダ州から連邦議会の上院選挙に立って、当選した。

 現在42歳、雄弁で明るいイメージの政治家で、2012年の大統領選挙では共和党の副大統領候補の1人として一時、名前が挙がった。2016年の大統領選では共和党側の有力候補の1人となる可能性も大きい。だから現在でもルビオ議員の発言は一目置かれることが多い。

オバマ政権の対日姿勢に反対を表明

 ルビオ議員は韓国を訪問中の1月24日、ソウルの外交問題研究機関で米国の対アジア政策について演説した。その演説と質疑応答の中で次のような発言をした。

 「(安倍首相の靖国参拝、慰安婦問題、日本の教科書問題などへの韓国側の反発に関連して)韓国と日本はともに米国の同盟国同士である。その相互の関係を脅かしかねないような、深くて苦痛にまみれた、かつセンシティブな苦情については両国で解決に努めてほしい。だが、米国はその種の案件に関与すべきではない」

 つまりルビオ議員は、米国が靖国参拝問題などに関わるべきではない、と主張しているのだ。