「知り合い自給率100%」ならば騙されない

味の社会学(第3回)

2013.11.20(Wed)菅 慎太郎

知り合い自給率100%のススメ

 家庭の食においても、安心、安全を自ら確保する簡単な方法があります。それは「知り合い自給率100%」を目指すというものです。

 つまり、生産者やお店とつながりを持つことです。スーパーが主流になる前、八百屋の店頭では、おじさんが旬の野菜についてオススメや出来具合を一言教えてくれたものです。八百屋のおじさんは消費者の顔が見えているから、「人に合わせた提案」が可能になる。「知り合う」こと、「話し合う」ことのメリットは、「コミュニケーションの煩わしさ」以上のものがあるのです。

 野菜の美味しさは何で決まるのか。それは「栽培時期(旬)」「品種」「鮮度」の3要素です。

 脱サラで就農し、年間50品目の有機野菜を栽培する久松達央氏は、最近出版した『キレイゴトぬきの農業論』(新潮社)の中で、「目的としての有機農業」と「手段としての有機農業」の2つは、はっきり区別されるべき」と記しています。

 有機農法をやりたいからではなく、おいしい野菜を作りたいから有機農法で作っている。生産者が美辞麗句を並べるだけでなく、正直に農法や旬について話をする。そうした生産者の情報発信を聞くことで、「生産者と消費者」との間には直接的な「信頼関係」が構築されていくのです。

 だから、「購入先の知り合いを増やす」ことは、消費者が自ら安心を簡単に手に入れるための1つの方法なのです。それを100%に近づけていくだけで、自分が食べる食材の安心。安全は構築されていきます。

会食がもたらす「口福(こうふく)」

 筆者は様々な場所でいつも提起しているのですが、食卓は「人が集うコミュニケーション」の場です。誰かの話に耳を傾け、共感し、驚き、感動し、学び、時に分かち合う。そうした人間らしさが詰まった場が「会食」の場なのです。

 家族団欒でもいいし、友人とのパーティーやバーベキューでもかまいません。人が集い、食を介して「食べ物」を分かち合う。「食べ物」を体に取り入れ、「おいしさ」を口から表現する。「口福(こうふく)」の場面がもっともっと増えてくれたら、コミュニケーションが増えること間違いなし。世知辛いと言われる世の中の人間関係だって、ガラリと変える力を持っていると思うのです。

 「アタマ」ではなく「ココロ」に響く食卓を、もっと多くの人と分かち合ってほしいと願うばかりです。「おかわり!」だって立派なコミュニケーションです。

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