IPCCの報告を垂れ流すメディア

 今回のIPCC報告書は、国内のほぼ全部の新聞が社説にした。7紙の見出しを紹介しよう。

「IPCC報告:深刻な温暖化にどう備えるか」(読売新聞)
「温暖化防止:後悔しない政策を早く」(朝日新聞)
「温暖化報告書:人類の危機への警告だ」(毎日新聞)
「IPCC報告書:長期的視点で原発選択を」(産経新聞)
「懐疑論を超え温暖化抑止に行動を」(日本経済新聞)
「温暖化評価報告:まいた種は刈らねば」(東京新聞)
「温暖化防止:世界は危機に瀕してる」(北海道新聞)

 産経の論調と、「原発を増やすのはもってのほか」と本文に書いた東京の論調が真逆だという温度差はあるが、どの新聞も報告書を讃え、「CO2削減を進めよう」と訴える。

 警告の好きなメディアは、幅があるなら最も怖そうな値を使う。大半の記事が、2100年時点の昇温には4.8度(最大値)、海面上昇には82センチ(最大値)という値を使った。予測の幅と現実的なCO2濃度の動向を思えば、せいぜい気温上昇は2度、海面上昇は30センチだろう。

 2度の気温上昇は福島と東京の気温差より小さく、30センチは「さざ波」だ。だから、パニックになる話ではない・・・と国民を安心させるのも、メディアの役目ではないのか?

 メディアがIPCCに盲従するココロは分かる。昨今、車・家電から日用雑貨まで、企業は「エコ」商品を大々的に展開している。エコの根元は「CO2脅威論」だ。CO2脅威論に疑問を挟むと、スポンサーのご機嫌を損ねることになる。だからメディアはIPCC発表を垂れ流すのだろう。

経済活動をする限りCO2排出は減らせない

 2014年4月に出る第3分冊の骨子は、CO2の排出削減だろう。だが京都議定書の発効から8年間、世界全体で100兆円(日本だけで20兆円以上)もの温暖化対策費を投じながら、大気中CO2濃度の足どりはまったく変わっていない。

 CO2の排出量は、世に出回るお金の総量で決まる。お金の促す経済活動がエネルギーを使い、CO2を出すからだ。

 要するに、省エネや節電をしても、浮いたお金(東京都の400万世帯が10%の節電をすれば400億円)が経済活動に回ってCO2排出を促す。ソーラー発電や風力発電もCO2排出を減らさない。

 そんな話を中学生や高校生にすると、すぐに分かってくれる。だが温暖化ネタで潤う企業人や役人、メディア、研究者は分かろうとしない。悲しい現実だと言えよう。

 世界の3%台しか排出しない日本が1割や2割の削減をしても(できはしないが)、地球の気温にはまったく影響しない。それを理解して次のIPCC発表を「報じない」メディアの出現を望む。