豊かな食文化は地域の発展あればこそ

三ツ星レストランを閉じたフランス超有名シェフの転身(後編)

2010.06.01(Tue)鈴木 春恵

 「私は、その一般の消費者と生産者の橋渡しの役目をしたいのです。原料の95%はcommerce équitable(公正取引)で買っています」

生産者のため、地域最低価格の4倍以上で素材を購入

60種類のレパートリーになる、ロランジェ氏のスパイス

 「しかも、すべての作物について、毎年地域ごとの最低価格を従来の取引のほぼ4倍の価格に設定して購入しようという協会がフランスにはあるのですが、私はその協会の証書を必要とはしませんが、それ以上の値段で買うようにしています」

 「年間10トンのスパイスを扱い、カナダ、アメリカ、そして日本にも私たちが作ったものが行っていますよ。しかも週に2~3カ所の割合で、この商品を扱いたいという店からのオファーを断っています」

 「なぜなら、まずはここに来て、1日、2日をかけて、私たちがしているのがどのようなことかを知ってもらう必要があるから」

 スパイスを語るときのロランジェさんの熱っぽさは、かつてその主題が料理だった時と全く変わらない。

ブティックのデコレーションには、スパイスの原料が

 「しかもね、これは旅の思い出としてエキゾチックな料理を作るために使うのではなくて、にんじんのサラダや蒸した魚や仔牛の煮込みみたいな、ごく日常の料理に使ってほしいと思っている」

 「塩や脂肪分に代わる役割をスパイスができるんじゃないかと考えているんですよ。実際、そういう観点から、フランスの健康省や糖尿病に関するアソシエーションと一緒の仕事も進めているところです」

 「それにしても、成功の絶頂期での転身でしたね」と、私はまた、そのことを口にした。すると次のような答えが返ってきた。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る