マハティール 派閥の中から国のリーダーを選ぶような仕組みだと、派閥の利益を最優先し、ほかの派閥より強い力を持った人がリーダーに選ばれます。このリーダーは、何はともあれ派閥の利益を最優先します。それが国の利益と一致していればいいのですが、必ずしもそうではない。
いまの日本を見ていると完全にこの派閥政治の罠にはまってしまっています。日本はそろそろこの仕組みと決別する時期に来ているのではありませんか。
そのためには、国民の声が直接リーダーに届く制度に変えることを検討してもいいのではないですか。国民が日本をどうしたいのかをはっきりと示し、そのうえで政治家の意見を聞いて、この人はと思う人に首相になってもらう。
政治家が短期間で代われば官僚の思う壺
川嶋 大阪の橋下徹市長は、制度そのものに問題があると指摘しています。私もその意見に賛成です。日本の国民は行政改革をすると約束した民主党を選びました。
ところがいつの間にか官僚の言いなりになって消費税増税に政治生命を懸けると言い出す。
マハティール 官僚というのは極めて影響力が大きくてある意味とても厄介な存在です。それに比べて政治家の力は弱い。この点ははっきりと認識しておかなければなりません。
官僚は政治家がそのポジションに長くとどまらないことをよく知っています。せいぜい3年だと。これに対して官僚はいつまでもそこにいます。半永久的に。
ですから、官僚はよく分かっているんですね。政治家の意見は重要でなくなってくる一方で、自分たちの発言力や影響力が増していくことが。そして次第に政治家の言うことを聞かなくなる。
しかし、同じ首相が5年以上続くようになると話は全く違ってきます。政治家の政策が尊重されて実行されるようになる。小泉純一郎元首相がよい例でしょう。
彼のやろうとしたことは明確だったし、国民も小泉さんの日本をどう変えようかという方針や政策をしっかり理解することができた。万が一悪い点があったとしても、大きな方針の中でそれらは修正されて実行されてきました。
国民のサポートがあったから小泉さんは政策をやり遂げることができたのです。世の中に最高の政策がもしあったとしても、国民がサポートしなければ間違いなく失敗します。