川嶋 枝葉末節な批判を繰り返すメディアの責任は確かにあると思います。しかし、選ばれたとたんに、約束と違うことを始めてしまう首相にも問題があります。

世界中に完璧なリーダーなど存在しない

マハティール元首相の執務室がある最上階のすぐ下の階から見下ろすクアラルンプール

マハティール 完璧なリーダーなど世界中のどこを探してもいません。あらゆるリーダーは良い点も持っているし悪い点もある。大切なのはそのリーダーがどのようなプログラムを考えているかです。

 そのプログラムが、日本経済を再生して発展させようというのであるならば、首相に対して、どのようにすれば日本経済が良くなるか具体的な政策を立てて実行する時間的な余裕を持たせてあげるべきです。

 もし、首相が日本経済を弱めるような政策しか持っていないならば、それは話になりませんが、仮にも首相になろうとする人なら、そんなことはないはずです。

 繰り返しますが、世界中に完璧なリーダーなどいないのです。日本の国民は自分たちが選んだリーダーの悪い点をあげつらうのではなくて、良い点を実行できるだけの時間をぜひ持たせてあげるべきです。

川嶋 日本はいまから約3年前にそれまでの長かった自民党政権に取って代わって民主党政権が誕生しました。国民は彼らが公約に掲げた行政改革を進め、膠で何重にも固めたように強固になった官僚主義を打破してくれることを期待しました。

 ところが、いまの政権は公約(マニフェスト)は完全に忘れてしまって、官僚を守るための政治になってしまっています。

 鳩山由紀夫元首相と菅直人前首相が、官僚と対立して官僚が全く言うことを聞いてくれなくなったという反動があるのかもしれませんが、約束が全く違う、正反対だというのが大多数の国民の思いです。

マハティール う~む。そういう首相だとしたら、その人を選んだのが間違いです。当然、政治家の中から本当に日本を良くしようというリーダーを探してその人を選ぶことが第一条件です。そのうえで、その人に多少の問題はあっても任せる。

 日本の政治を見ていて思うのは、派閥による政治が昔も今も続いているということです。そこはほとんど変わっていない。