マハティール 日本はもっと研究開発投資に積極的になるべきです。自動車だけの分野ではありません。機械、自動車、エレクトロニクス、日本がさらに強くなれる分野はいくらでもあり、その可能性は極めて大きい。
中国との競争という意味でも、真正面から中国のコストに挑戦しても全く意味がありません。ドイツのように中国の作れない製品に特化していくことだと思います。
ドイツは危機的な経済環境にある欧州にあって、ほぼ唯一、成長し豊かさを謳歌している。それは、高性能・高品質で高い利益率の製品に特化しているからです。
日本にも非常に高い技術力があります。しかし、それらをもっと高める努力が足りないと思います。
日本に原発はいらない
川嶋 このところアジアに来ることが多いのですが、アジアには活力が満ちている。人々の目が輝いています。日本に戻ると、この国は元気がなくなったなぁと痛感させられます。何だかあきらめに近い雰囲気が漂っている気がしてなりません。
気持ちの入れ替えが必要だと思います。
マハティール その通りだと思います。マインドセットを切り替えること。それがいまの日本に必要ではないでしょうか。
川嶋 さて、日本ではご承知のように東日本大震災が発生し、同時に世界最悪の原子力発電所の事故を引き起こしてしまいました。
それにもかかわらず、日本の政府や電力会社は原発の早期再稼働を願ってやみません。国民に「停電になるぞ」という脅しまで使って、再稼働を認めさせようとしている。民主党はいまでも原発輸出に積極的です。
マレーシアには豊かな地下資源があるためもあって原発がありませんが、マハティールさんは原発をどう見ていますか。