4月11日投票の韓国の国会議員選挙を前に、韓国内のニュースは「政局一色」になってきた。「李明博(イ・ミョンバク)政権への審判」を唱える野党は、「財閥改革」を前面に掲げて攻勢に出ており、経済界は戦々恐々だ。

 「政治家は人気取り政策を自制し、企業に対する根拠のない批判をやめるべきだ」――。2012年3月22日、大韓商工会議所、全国経済人連合会、韓国貿易協会など韓国の経済5団体の代表が一堂に集まり、こんな声明を出した。

野党が唱える財閥改革を経済界が公然と批判

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野党は今回の選挙を、親大企業を掲げてきた李明博政権への審判と位置づけている〔AFPBB News

 韓国の経済界が公然と政治家に批判的な意見を表明するのは異例だ。選挙直前のこの時期に5団体の代表が集まって「政治批判」するのも「前例がないこと」(財閥役員)だ。

 それだけ今回の総選挙への危機感が強い証拠でもある。というのも、特に野党が「財閥改革」を前面に掲げて攻勢に出ているからだ。

 経済5団体の代表による会合の2日前の3月20日、第1野党である民主統合党(民主党)は国会内で経済政策を発表した。

 そのタイトルもずばり「財閥改革3大戦略10大政策」だった。その内容は過激だ。

 まず、李明博政権下での経済情勢を「財閥は社会的責任に顔を背けて経済的成果を独占し、優越的地位を乱用して中小企業を苦しめている。また脱法行為などを通して経済力を集中させ、系列企業を拡張するなど財閥の否定的な面が大きくなっているのが現実だ」と規定した。

 さらに現政権が財閥や大企業を優遇した政策を続けたため、「大企業と中小企業」「1%の金持ちと99%の庶民」の間の経済両極化がさらに進んだと決めつける。

 そのうえで、「経済力集中緩和」「不公正行為の遮断」「社会的責任強化」を3大戦略として掲げ、そのために10項目の政策を掲げた。

 具体的には、「出資総額制限制度の復活」「財閥の系列企業間の循環出資禁止」「産業資本による金融機関所有規制の強化」などを掲げた。