会社更生手続き中のエルピーダメモリの支援企業を選定する第1次入札が締め切りになった。東芝や米マイクロン・テクノロジーなど予想された顔ぶれに加え、韓国のSKハイニックスが応札したことが分かった。DRAM世界2位の同社は一体どこまで本気なのか?
ハイニックスの応札は韓国内でもサプライズだった。2012年3月30日金曜日の午後遅くに応札が明らかになると、業界内や証券市場でもその思惑や効果に対する評価が錯綜した。
買収の思惑や効果に評価が錯綜
前向きな評価は、ハイニックスとエルピーダの世界DRAM市場でのシェアを合わせると33.8%近くに達し、首位のサムスン電子(45.1%=シェアは米調査会社IHSアイサプライによる2011年1~9月期調べ)に迫る一大勢力が誕生すること。価格支配力などが高まり、業績向上も期待できるというものだ。
だが、こうした評価は決して多くはない。何よりも、エルピーダ買収がハイニックスと親会社のSKテレコム、さらにSKグループ全体に大きな負担になるという見方も強い。
韓国メディアは、エルピーダ買収に必要な金額を1兆5000億~3兆ウォン(1円=14ウォン)と見ている。
ハイニックスは現在約4兆ウォンの現金を抱えているものの、その全額を2012年の設備投資に使う計画だ。
買収資金は当然、SKグループが負担することになるが、ハイニックスを3兆ウォンを超える金額で買収したばかり。半導体事業への大規模投資に耐えられるか懸念の声が多い。
週明けの4月2日になって、韓国の経済メディアは一斉に、ハイニックスによるエルピーダ買収応札の「本気度」に疑問を投げかける報道をした。
応札報道で一時は株価が急落
30日に応札の情報が流れるとハイニックスの株価が一時急落し、同社があわてて背景説明に追われたようだ。
経済メディアやアナリストは、「エルピーダは広島や台湾に生産拠点が分散している」「エルピーダが強いモバイル分野ではハイニックスも十分な競争力がある」――などを理由にシナジー効果も不透明だとの見方を明らかにした。