下請け中小企業に不当に価格引き下げを求めた場合に懲罰的損害賠償を科すことや、経営者やオーナーが横領や背任で有罪になった場合にも事実上執行猶予がつかないよう重い処罰を科すように法改正をすることも盛り込んだ。

 「財閥を解体したり市場経済を否定する政策ではない」と言うものの、基本的には「財閥」の活動をがんじがらめに縛ろうという主張であることは間違いない。

 だが、こんな民主党の政策も、もう1つの野党である統合進歩党(進歩党)に比べれば「財閥に甘い」政策だ。

財閥ごとの「オーダーメード型改革方針」を掲げる進歩党

 もともと労働組合や左派系の市民団体を支持基盤にする政党だけに、その政策は財閥「改革」ではなく、「解体」だ。

 民主党の政策が「財閥改革」について総花的であるのに対し、進歩党は「財閥の弊害を生んでいる根本的な原因はオーナーを頂点とした支配構造にある」として、この点に集中的にメスを入れる方針だ。

 進歩党の政策が過激なのは「財閥改革を総論で唱えても意味がない」として、財閥ごとに「オーダーメード型改革方針」を策定したことだ。

 例えばサムスングループに対しては、支配構造の頂点に立つ非上場企業のサムスンエバーランドを「金融持ち株会社に指定する」とある。こうなると同社が大株主になっているサムスン生命保険はサムスン電子などの株式を売却せざるを得なくなり、オーナー家→サムスンエバーランド→サムスン生命→サムスン電子という支配構造が崩れる。

北米カー・オブ・ザ・イヤーに現代自動車「エラントラ」

進歩党が一定の権力を持てば、現代自動車やサムスン電子に多大な影響が及ぶ〔AFPBB News

 また現代自動車グループについては、「循環出資の禁止」とある。

 同グループは会長親子と現代自動車、起亜自動車、部品、物流系列企業が複雑に株式を持ち合う形になっている。循環出資ができなくなれば、オーナー家による支配構造が打撃を受けることになる。

 進歩党の支持率は5~10%。現在の国会議員数は7人だが、選挙結果いかんではキャスティングボートを握る可能性も排除できず、経済界はその「過激な」政策に困惑している。