2012年の韓国は「政治の年」である。韓国の大統領は任期が5年、国会議員は任期が4年だが、今年はこの2つの大きな選挙が同じ年に実施されるからだ。20年に1度の「政治決戦」の年だが、4月11日の総選挙に向けて政党間争いの前に、党内での熾烈な公認争いが続いている。キーワードは「現職外し」だ。
若返りと世代交代が急速に進む韓国社会
1997年のIMF危機と呼ばれた通貨・経済危機を機に、韓国社会は猛烈なむき出しの競争社会になった。同時に、若返りと世代交代が企業でも公務員社会でも急速に進んだ。
若くてエネルギーに満ち、アイデアも豊富な若手をどんどん登用して、猛烈に働かせる。エネルギーが切れたら次の世代と交代させる。残酷でもあり、効率的でもある人材登用が、韓国経済のダイナミズムの源泉の1つであることは否定できない。
同じことが政界でも起きている。「現職議員を、どんどん交代させる」というのが与野党共通の大方針になっているのだ。
与党のセヌリ党(旧党名ハンナラ党)は、「現職議員25%交代」を基本方針として決めた。
出馬意向を持つ現職議員を、当選可能性などいくつかの指標で順位付けし、下位4分の1に入った議員は自動的に公認から外すという方針を打ち出した。
党内に設置した公認審査委員会が強大な力を持ち、次から次へと有力現職議員を公認から外している。
誰がどう見ても再選の可能性が高い重鎮議員もおかまいなしだ。
確実に勝てそうな重鎮議員でも公認されない!
李明博(イ・ミョンバク)大統領の実兄で6選議員である李相得(イ・サンドク)氏(76)は、自ら次期選挙への不出馬を決めた。党内で多選批判が強まっていたことに加え、側近の秘書の不正資金疑惑などが出て、党内審査を受けても通過できない可能性が出ていた。
選挙区での強さは盤石で、出馬すれば当選可能性が極めて高いが、党内の関門を突破できないのだ。