これに対して与党セヌリ党(旧党名ハンナラ党)の事実上の党首である朴槿恵(パク・クネ)議員は、3月21日に遊説で「国民のことを考えず、韓米FTAを破棄し、大企業を解体するなどと叫んでいる勢力が国会を掌握したら、この国は一体どうなるのか!」と強い語調で野党の政策を批判した。
そんな与党も、「経済民主化」を掲げ、李明博政権よりも財閥や大企業への規制を強化する政策を打ち出している。
一体どうして財閥が人気取り政策の標的になっているのか。韓国経済の最大の課題がマクロとミクロの乖離にあるからだ。
李明博政権が誕生した2008年2月以降、韓国経済は国内総生産(GDP)成長率や輸出額などを見ると世界の優等生だ。
2009年のGDP成長率は、リーマン・ショックで世界の主要国が軒並みマイナス成長に転落したのに対し、韓国はプラス成長だった。2010年はなんと6.2%の成長。昨年も3.6%とまずますの成長だった。
ところが国内では「経済失政」と言わんばかりの強い批判を浴びている。
経済の両極化で国民の85%が抱く不満
これが経済の両極化だ。一部の財閥大企業が圧倒的な収益を上げているが、好況感を国民全体が共有できないのだ。
政府は「韓国は主要国の中で高い経済成長を記録した」などと繰り返し発表する。だが、一人ひとりの国民にとっての関心事はそんなマクロの数字ではない。「自分の会社」「自分の店」がどうなっているか。さらに「自分の子供が、自分が就職できるかどうか」だ。
雇用者ベースで見ると、大企業の就業者はざっと15%。残りの85%は中小・零細企業の就業者だ。
韓国経済が好調だと言っても、恩恵を得ているのが15%の層に集中しているのだ。