サービスを統合したエコシステムが強み
これらのことを考えると、アマゾンの今後の展開が見えてくる。同社は今年、アンドロイド搭載端末向けのアプリストアを開設したほか、音楽のクラウドサービスも始めている。また映画/テレビ番組の配信サービスもテコ入れした。
こうした一連のサービスに、電子書籍を加え、さらにアマゾンの本業であるネット小売りも統合してしまう。それが同社タブレット端末の狙いのようだ。
アマゾンはこれまで、読書専用端末「キンドル(Kindle)」の展開に加え、自社の電子書籍コンテンツを、アイフォーン、アイパッド、アンドロイドといった他社製端末で利用できるようにしてきた。これまでまちまちだったプラットフォームを今後は自社端末に統合できるというわけだ。
アマゾンのタブレットはアイパッドより1年半出遅れて登場することになる。また市場には、アイパッドに続けと競合タブレットが続々と登場している。今後はアマゾン同様に200~300ドルの製品も登場すると予測され、市場競争は激化しそうだ。
ただ、それでもアマゾンには強みがあるとアナリストらは見ている。アマゾンのタブレットは、同社サービスのエコシステム(生態系)を1台で体験できる端末として訴求しそうだという。
むしろ、アイパッドの対抗商品として、アンドロイド端末を相次ぎ投入している中国、台湾、韓国の大手メーカーが苦戦を強いられると見られている。
アマゾンが有利な点は、アップル同様にクレジットカード情報に紐付けされた膨大な数のユーザーアカウントを持つこと。おそらくそうした既存顧客に新端末を購入してもらおうと、徹底的な価格競争を展開することだろう。
