2009年9月28日、自民党の新総裁に元財務相・谷垣禎一が決まった。派閥解消を訴えた元法務副大臣・河野太郎の叫び声は党全体には響かず、若手分断を図るための出馬と指摘された前外務政務官・西村康稔には存在感がなかった。「野党」の総裁選に対するメディアの関心は低く、自民党は下野した悲哀を味わったに違いない。一方、鳩山政権誕生でマスコミ各社も相次いで人事異動に踏み切り、自民党を担当する平河記者クラブの陣容は大幅に縮小。政権交代と同時に「派閥記者の時代」も終焉した。(敬称略)
衆院選後の自民党各派閥の勢力は次の通りだ。(注=衆院は前職の衆院選立候補者数)
町村派 | 衆院57 | 参院27 | 計84 | → | 47人 |
額賀派 | 42 | 23 | 計65 | → | 37人 |
古賀派 | 49 | 10 | 計59 | → | 34人 |
山崎派 | 34 | 3 | 計37 | → | 19人 |
伊吹派 | 19 | 6 | 計25 | → | 14人 |
麻生派 | 16 | 4 | 計20 | → | 12人 |
高村派 | 12 | 2 | 計14 | → | 6人 |
二階派 | 12 | 2 | 計14 | → | 3人 |
衆院選後、最大派閥の町村派では元防衛相・小池百合子が「もはや派閥の時代ではない」と退会。総裁選に出馬した西村康稔も退会届を出し、受理された。また、選対副委員長・菅義偉が「派閥でがんじがらめにする自民党の古い体質」を嫌い、古賀派から姿を消した。
津島派は会長・津島雄二の政界引退に伴い、会長代理の額賀福志郎が後を継いで「額賀派」にカンバンを差し替えた。田中派、竹下派の流れをくみ、かつて衆参両院で100人以上の勢力を誇った名門派閥も、衆院ではわずか14人にまで落ち込んだ。派閥凋落の象徴と言えよう。
派閥が生き残っても、取材は無意味に・・・
今後さらに派閥離脱者は増えるだろう。それでも、派閥は解消されずに生き残った。「古い自民党」にしがみ付くしかない、派閥の重鎮やベテラン議員がしぶとく当選したからだ。彼らは総裁選では谷垣を支えた。一方、小泉チルドレンをはじめ中堅・若手議員は大量落選したから、自民党に「若い力」が強まるべくもない。