欧州を恐怖に陥れた食中毒騒動、
夏の海外旅行は大丈夫か?

2011.08.05(Fri)白田 茜

 感染源の特定について、トリニティ・カレッジの臨床微生物学部講師、スティーブン・スミス博士はこう語る。「今回のO104:H4の感染源となった細菌は、スプラウトの発芽管の外だけではなく、中にも存在していたと考えられます。そのため、スプラウトを洗っても効果はありません。したがって、スプラウトの種がどこから来たのかを探し、直ちに出荷を停止することが最優先でした。さらに、将来的に農家の苗床や消費者に渡った種を検査する必要が出てくるかもしれません」

日本にも未知の病原性微生物が入ってくる?

 厚生労働省によると、腸管出血性大腸菌の国内患者数は年間約4000人だが、O104:H4は日本で確認されたことはないという。今回の欧州で見られた感染も、今のところ日本には波及していない。

 事態は収束に向かい、胸をなでおろす人もいるかもしれない。しかし、今後も同様の感染症は起き得る。現在は、モノが自由に行き来するグローバル社会。日本にも未知の病原性微生物が入ってくる可能性はゼロではない。

 グローバル社会での危険性について、森田准教授は警鐘を鳴らす。

 「今日、食材の流通も国際的で、特にカロリーベースの食料自給率が4割の我が国は多くの食材を発展途上国等から輸入している。今回、欧州で分離されたO104:H4も、いつどのような形で我が国に侵入してくるか分からない。日頃からの監視と、異常が発生したときの早期探知、迅速な疫学調査およびそのデータ解析・情報公開ならびに早期対策がグローバル社会では、より必要になっている」

 不断の情報収集と監視はもちろんのこと、万が一、日本に入ってきた場合の対処法を、海外の事例を参考にしつつ、今から考えておくべきだろう。グローバル社会では、食中毒も「対岸の火事」では済まされないのだ。

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