「都民ファーストの会」元事務総長で弁護士の小島敏郎氏が「文藝春秋」5月号に発表した手記をきっかけに、小池百合子・東京都知事の学歴問題が再びクローズアップされています。6月18日には小島氏が東京地検に、小池氏に対する公選法違反(虚偽事項の公表)罪での告発状を提出しました。この問題について人気作家、黒木亮氏がJBpressでレポートした連載記事をもう一度お届けします。(初出:2024年4月15日)
※内容は掲載当時のものです。(JBperss編集部)
「証言」と小池氏・カイロ大学の主張が食い違う理由を解明する
(黒木 亮:作家)
小池百合子東京都知事の側近といわれた元都民ファーストの会東京都議団政務調査会事務総長、小島敏郎氏が、「大学を卒業していない小池さんは、(カイロ大学の)声明文を自ら作成し、疑惑を隠蔽しようとしたのです」という衝撃的な告発文を文藝春秋に発表した。小島氏は高い倫理観を求められる弁護士でもあり、告発は非常に重い。
これに対し、小池氏は4月12日の定例記者会見で、「カイロ大学が自分の卒業を認めている。卒業を認める資格があるのは大学だけ」と述べた。
確かに、カイロ大学文学部日本語学科長だったアーデル・アミン・サーレハ氏が、「(小池氏は)1年時にアラビア語を落としているようだが補習でクリアし、4年間で卒業している」と日本のメディアの取材に回答したりしており、同大学が小池氏の卒業を認める姿勢を窺わせる。
一般の人々にとって、小島氏やかつてカイロで小池氏の同居人だった北原百代氏らの証言と、カイロ大学の姿勢が真っ向から食い違っているのをどう理解したらいいのか戸惑うところだろう。
結論から言うと、小池氏が持っている卒業証書類は、卒業実態なしでもらえる「complementary certificate」(直訳は「プレゼントの証書」)の可能性があると筆者は考えている。