米国が北極圏への執着を強める最大の動機とは
中国が打ち上げた「氷上のシルクロード」構想だが、皮肉にも消失しつつある。公の交渉の場からその名は消え始めている。停滞の原因は国際情勢の混乱や国内経済の低迷により開発スピードが劇的に低下したからだ。ロシア以外での北極圏投資のほとんどが失敗か停滞している。
北米の重要鉱物生産者の見積もりによれば、中国との紛争が発生して供給が断たれた場合、わずか90日で米国の防衛産業の生産ラインの約8割が停止するリスクがある。現在の軍事機器には代替品が存在しないため「90日の壁」こそ、米国が北極圏への執着を強める最大の動機なのだ。
トランプ氏による買収提案は結果的にグリーンランドと北極圏の戦略的価値を世界に再認識させるきっかけとなった。中国はグリーンランドのインフラや採掘プロジェクトへの投資を試みてきたが、デンマーク政府は「安全保障上の理由」からこれらを次々とブロックした。
24年データによれば、北極圏への投資の50〜60%をロシアが占めており、西側のノルウェー、スウェーデン、米国、カナダなどが残りのシェアを分け合っているのが現状だ。ロシアに負けないよう西側も「ハイ・ノース」への投資を加速させることが急務とされる。