リスク分散が基本、対米投資も戦略的に
——昨今のイラン情勢を踏まえると、ホルムズ海峡の封鎖といった事態に日本政府はどのように備えてきたのでしょうか。
細川:危機に備えるため、備蓄を持ち、代替エネルギーを開発することは当然のことです。その意味で、先日実現した、東京電力・柏崎刈羽原発第6号機のフル稼働は、こうした危機を考えると重要なことだったと思います。年間110万トン以上のLNG相当の出力になり、中東から輸入しているLNGが約400万トンですから、その4分の1をこの原発で賄える計算になります。
ロシア・サハリンについても、日本へのLNG供給の約9%を占めていますから、維持しておいてよかったと思います。
——中期的に日本が取るべき対策は何でしょうか。
細川:リスクの分散しかありません。原油依存度を下げ、LNGや原発、再生可能エネルギーで供給源を多角化すること、さらに同じ原油でも中東以外からの調達を増やしていくことが重要です。
例えば、かつて米国は石油の一大消費国でしたが、今や産油国に変わっています。コストだけを見れば中東より割高になりますが、安いものだけに依存すれば、リスクにもなります。レアアースの中国依存と同じ構図です。
84兆円規模の対米投資枠の第1号案件のひとつに、アメリカの原油積み出し港の建設プロジェクトが含まれていました。緊急時には日本への供給を優先するという仕掛けを、こうした具体的なプロジェクトの中に組み込んでいくような積み重ねも大事になってくると思います。
——今回の事態はどれくらい長期化するとお考えですか。
細川:正直、全くわかりません。トランプ大統領の判断がどこまで合理的かも読めない。ただ、2026年11月の中間選挙を控えて、長引けば逆風になりかねない。「世界の戦争から手を引け」という支持母体のMAGA層からの突き上げも出てくるでしょう。アメリカ国内の政治情勢にも大きく左右されるという意味で、予想し難い状況です。


