報復の連鎖が続く「第2のベトナム戦争」──試される米軍の継戦能力

 2月28日に米国の新興メディア「アクシオス」の電話インタビューに応じたトランプ氏は、「(攻撃を)長引かせて全部を手に入れることもできるし、2、3日で終わらすこともできる」と余裕を見せ、数日での作戦終了を期待していた。

 だが、実際は長期化の様相で、イランはミサイルやドローンによる猛反撃を実施している。イスラエルはもちろん、米軍に基地を提供するサウジやクウェート、UAEなど周辺10カ国など見境なく報復攻撃を行っている。

 加えて米軍にもついに犠牲者が出始めている。そして、ホルムズ海峡が封鎖され、石油・LNG供給に黄信号が点るなど、世界経済への影響も懸念される。

 イラン側の執拗な反撃とホルムズ海峡の封鎖が長引けば、トランプ政権はますます引くに引けなくなり、ディール(取引)どころか、メンツを懸けた泥沼の戦いへと引きずり込まれかねない。むしろイラン側はそれが狙いかも知れない。

2026年3月1日、イラン攻撃のためトマホーク対地巡航ミサイルを連射するアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦(写真:米国防総省サイトより)

 3月1日付の米ニューヨーク・タイムズのインタビューに対し、トランプ氏は「イランに対する大規模攻撃が4~5週間続く可能性がある」と述べ、戦闘が一定期間継続することへの覚悟を表明した。

 さらに、米ニューヨーク・ポストの取材では、地上部隊の投入について「排除しない、とは言わない」と言及。米陸軍や海兵隊によるイラン侵攻の可能性を否定せず、さらなる軍事プレッシャーを強める構えを見せている。

 また、3月3日には記者団に対し、「イランの海軍と航空基地は完全にノックアウト(壊滅)した」と戦果を強調したと報じられた(英ロイター)。同日、米ブルームバーグも、トランプ氏がホルムズ海峡の安全を確保するため、航行するタンカーなどに対してアメリカが保険と海軍による護衛を提供することを明らかにしたと報じている。

イランとの戦闘長期化の覚悟も見せるトランプ氏だが…(写真:Gripas Yuri/ABACA/共同通信イメージズ)

 軍事的優位を誇示し、経済的リスクへの備えを強調するトランプ政権だが、地上戦への含みを持たせた発言もあり、事態が本当に収束に向かうのか懸念は拭えない。

 戦闘の長期化・泥沼化は、米軍の戦力を確実に削り取り、トランプ氏が望む「壮絶な怒り」の代償は、アメリカにとって計り知れない国力の消耗という、「第2のベトナム戦争」のような形で跳ね返ってくることになるだろう。

イスラエルと連携し、イランに対する大規模攻撃を行っているアメリカ(2026年3月1日テヘラン中心部、写真:SalamPix/ABACA/共同通信イメージズ)