イランのドローン攻撃で煙を上げるサウジアラビアの製油所(写真:ロイター/アフロ)
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(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 米国とイスラエルが2月28日にイランを攻撃したため、ペルシャ湾とオマーン湾をつなぐホルムズ海峡は事実上の封鎖状態になっている。紛争被害に巻き込まれないよう、民間企業が自主的な判断で運航を停止しているからだ。

 日量約1650万バレルの原油が運ばれるホルムズ海峡は全長約100マイル(約160キロメートル)で、最も狭い部分の幅は21マイルに過ぎない。そのうえ、水深が浅いので機雷の脅威を受けやすく、通航する船舶はイラン沿岸からのミサイル攻撃や巡視船、ヘリコプターの標的になりやすい。

 イラン革命防衛隊は戦争直後から、ホルムズ海峡を通過しないよう呼びかけていたが、3月2日、ホルムズ海峡を封鎖したと表明した。これに対し、米中央軍はホルムズ海峡は封鎖されていないと反論した。

 現場の状況は明らかではないが、ホルムズ海峡を巡る環境が格段に悪化していることは間違いないだろう。

 3月2日の米WTI原油先物価格(原油価格)は前週末比4.2ドル(6.3%)高の1バレル=71.23ドルで取引を終えた。時間外取引では一時75.33ドルと昨年6月下旬以来の高値を付けたが、昨年6月の「12日間戦争」の際の原油価格(1バレル=70ドル台後半)を超えることはなかった。今回の方が戦争の規模が格段に大きいのにかかわらず、である。

 国際エネルギー機関(IEA)が指摘しているように、世界の原油市場が供給過剰状態にあることが関係している。需給が緩んだ状況下では地政学リスクの高まりだけで原油価格が高騰することはないというのが筆者の考えだ。

 だが、予断を許さない状況が続いている。

 筆者が注目しているのは、イランがサウジアラビアのラスタヌラ製油所に対しドローン攻撃を仕掛けたことだ。