監督が高校生に強調した「ちゃんと褒める」ことの大切さ
昨年まで、この野球教室を指導していたのは、監督の飯島佑教諭だったが、昨年度末で神奈川県立横浜翠嵐高校に転任し、今年はこれまで野球部長だった宮田康平教諭が監督に就任した。
神奈川県立多摩高校野球部の宮田康平監督(筆者撮影)
「生徒に話したのは、去年まで以上に“ちゃんと褒めなさい”ということです。
例えば1年生は12人いますが、彼らは自分自身のために1年間やってきた。だから常に教えてもらう立場、どちらかというと“褒められる立場”だったのですが、今日は、自分たちよりもっと年下の子たちが相手です。
どういう風に接するのがいいのか? うまく出来たときにはちゃんとほめるべきだろう、それができたときに君たちがどれだけ成長したかがわかる、と話しています。自分が普段やっていることを子どもたちがわかるように言語化してしっかり伝えてほしいですね」
――今回の野球教室も、選手たちが中心になって企画を立て、推進したのですね?
「今年の野球教室を中心になってやってくれた生徒は、将来、人文・教育関係の研究を深めたいと考えている生徒でした。野球を学問として研究したいという志向のある生徒が、どうやったら子どもたちが満足するか、という方向にフォーカスして企画しました。そしてなるべくゲーム性を重視するとか、どんな景品を準備するか、とか、基本的な方針を立てていきました」
――多摩高校は、こうした「野球教室」とともに、日本野球学会や、野球学びラボ主催の「高校生野球科学研究発表会」でも研究発表をしてきました。「野球学を研究する」のも多摩高校の重要な活動になっています。
「今回の野球教室も、野球学会の発表も、そうした探究的な学びの一環です。うちの学校は専門的なテーマ別の授業があるので、学校の授業でこういった学びの準備ができます。野球部員も数理系の生徒たちは野球学会では『動作解析系』の研究発表をしますし、人文系の生徒たちは『野球離れ』対策としての『野球振興策』を考えるなど。キャリア教育ではないですが、野球と勉強をどう繋げ合わせるかを考えています」
昨年12月、日本野球学会での発表の様子(筆者撮影)