不正会計で揺れるニデックの永守氏も過去に登壇

──星野さんは日本を含め、世界中の大都市に日本型の旅館をつくるという戦略を進めているようですね。

小林:日本の観光業を「産業化」しようとしています。もともと日本の旅館や宿泊業は季節によって需要が上下する受け身の業界です。それを、需要とコストが見合う成長性のある産業にしたいと考えている。

 星野さんの考える「産業化」には、製造業のように「外貨を稼ぐ」というパラメーターがあり、海外進出を成功させることは重要な目標です。でも、西洋ホテルのスタイルで海外に進出しても、日本のホテルが選ばれる可能性は低い。そこで、日本独自のスタイルである「温泉旅館」が海外で支持されれば、競争力を発揮できると考えているのです。

──世界最大の総合モーターメーカー、ニデック創業者の永守重信さんも番組の講師として登場しています。永守さんは、1973年にわずか3人の従業員と共に会社を創業し、売り上げが2兆円を超える企業にまで育てました。

小林:ニデックの前身である日本電産は1973年に創業しました。最初はプレハブ小屋からの出発で、創業当初は国内で受注することに苦戦しましたが、やがて永守さんが米国の巨大企業、3Mに飛び込み営業をして大型の受注を得ました。

 その後、1979年にハードディスクドライブ用モーターを開発し、90年代後半にはバブル経済の崩壊で景気が冷え込む中でもパソコン需要拡大を追い風にHDDモーターで事業を拡大しました。さらに、2000年に自動車の電動パワステ用モーターの生産を開始。車載部品や産業用モーターの生産でさらに成長しています。

 やがて企業合併や買収を加速させ、「回るもの・動くもの」といった分野で70社以上のM&Aを成功させ、急成長を実現しました。永守さんは創業当初に「売り上げ1兆円企業を目指す」とご本人曰く「大ぼら」を吹きましたが、結果として一代で売り上げ2兆5000億円を超える巨大企業グループを作り上げました。まさに有言実行です。

──そんなニデックですが、2025年6月頃から不正会計疑惑が相次いで報じられ、50年間経営のトップにいた永守さんは12月に代表取締役グローバルグループ代表を辞任。2月26日には名誉会長も辞任しました。

小林:2025年12月19日に永守さんは声明を発表しました。「私は、創業者としてニデックを企業風土も含めて築き上げてきたが、ニデックの企業風土が云々と言うことで、世間の皆様方にご心配をおかけすることになった。この点、申し訳なく思っている」という声明です。

 かつての永守さんであればこのような謝罪はあり得なかったと思いますが、東京証券取引所から特定注意銘柄に指定され、上場廃止もあり得るという厳しい立場に追い込まれる中で、こうした声明を出さざるを得なかったのだと思います。

 この文書のおよそ1カ月前に、ニデックの岸田光哉社長は会見で「組織風土の改革が必要」と繰り返し述べていました。不適切会計をめぐる問題の真相は第三者委員会の調査結果が待たれますが、企業風土の問題をすでに経営層が認めていたのです。

──以前の勢いがある永守さんと、目の前の現実とのコントラストが非常に印象的です。