250年間氾濫していない地域で「洪水が低減する」フェイク
さらなる問題は、B/Cの便益(B)の裏付けとなる洪水調節の効果が、どのように計算されているものなのかを国土交通省が説明しようとしないことだ。
川辺川ダム問題を立って説明する木本雅己さん(2025年12月4日、参議院議員会館でのヒアリングで筆者撮影)
ヒアリングにおいて、人吉市をベースに活動する「清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会」の木本雅己事務局長は、国土交通省治水課担当者に疑問を次のように投げかけた。
「川辺川ダムの便益の約8割以上を占めるとされる球磨川下流の八代市で、どれほどの洪水低減効果があるのかを知りたい。この地区は、250年間、破堤していません。2020年の洪水でも1人の被害者もないし、1つの損壊家屋もありません。なぜ、そういう地区での洪水低減効果が計算に入っているのか」
つまり、あるはずもない効果が盛られているという指摘である。すると、担当者は「根拠資料はホームページで公表している」と回答。木本さんが「洪水が発生していないところが、なぜ」と食い下がる。
それでも、担当者は「ホームページで『事業評価カルテ』で検索をして、見ていただければわかる。治水経済調査マニュアルと浸水想定に基づいて算定している」と逃げる。「その浸水想定が間違っている」と指摘されると、「浸水想定も別のマニュアルに基づいてできている」とさらに逃げた。「マニュアル自体に問題があるのでは」と問われると、最後は口ごもった。