AIと対峙する3つの防衛ルール

1. 「なぜ動いているか」を1行ずつ説明させる

 AIが出したコードをそのまま貼り付けるのは、中身を知らない薬を飲むのと同じです。

確認:AIに対し、「このコードの各行が何をしているか、中学生にも分かるように日本語で注釈(コメント)を入れて」と指示してください。

防衛ポイント:説明を読んでも理解できない箇所があるなら、それは「制御不能なブラックボックス」を抱え込んだ証拠です。運用フェーズで必ず詰まります。

2. 「異常系」の振る舞いを定義する

 バイブコーディングの多くは、ハッピーパス(すべてがうまくいく前提)で書かれています。

確認:「ネットが切れたら?」「データが空だったら?」「予定外の文字が入力されたら?」という意地悪な質問をAIに投げ、エラー処理を追加させてください。

防衛ポイント:システムの品質は「正常に動くとき」ではなく「止まるとき」に現れます。

 この考慮もれが、後にデータ破損や無限ループの悪夢を招きます。

3. 「使い捨て」か「資産」かを峻別する

 そのツールが、自分1人の作業を30分短縮するものか、部署全員で毎日使うものかを見極めます。

確認:3人以上がかかわる、あるいは1か月以上使うツールであれば、必ずエンジニア(または詳しい担当者)にコードの「検収」を依頼するフローを設けてください。

防衛ポイント:非エンジニアがAI任せで作った「野良ツール」が業務フローの急所になることを防ぎます。

 これらのプロセスを経て初めて、バイブコーディングは何が起きているか分からない「魔法」から「業務基盤」へと昇華されます。

 結論は単純です。

 生成AIは強力な補助道具になります。問うべきは、誰が全体設計の責任を持つのかという一点です。

 バイブコーディングを否定する必要はありません。ただし本番業務に使うなら、設計と検証の仕組みを先に作るべきです。

 バイブコーディングに酔うのではなく、具体的な運用を理解しましょう。それがこれからのバイブコーディングの出発点ではないでしょうか。

 非エンジニアでもコードが書けたという表面的なことで満足するのではなく、実際の業務に使われて運用されてこそバイブコーディングの真価が問われます。

筆者作成