魔法の杖ではないプロンプト
アーキテクチャーとは、システム全体の構造をどう組み立てるかという設計思想です。
どこにデータを置き、どこで認証し、どう拡張するかを決めます。ここを曖昧にしたままコードを書かせても、土台が不安定になるのです。
「プロンプトエンジニアリング」という言葉が最近流行しています。生成AIに的確な指示を与えるための技術や手法のことです。しかし、プロンプトの本質は、魔法の指示文ではありません。
システム全体を理解し、AIの出力を評価し、修正方針を決める力が極めて重要なのです。つまり、人間側の設計能力そのものになります。
経営視点で見れば、生成AIは調達コストを下げる道具です。試作の速度は確実に上がります。
しかし、運用コストとリスク管理は別問題です。そこを同じ線上で語ると判断を誤ります。
これからの時代、求められるのはコードを書く力ではありません。AIが出してきた成果物の妥当性を疑い、検証プロセスを設計する力です。
例えば、自分の家を建てる場合を考えてみましょう。大工さん(AI)に任せきりにするのではなく、施主として図面をチェックし、耐震基準(セキュリティ)などを問い質す視点は重要ではありませんか。
その発注者としてのリテラシーこそが、バイブコーディングの罠を回避する唯一のカギとなるでしょう。
動くデモンストレーションを見て、完成したと感じてしまう。説明が整っていると、正しいと感じてしまう。だからこそ設計が重要なのです。
冒頭で述べた通り、動くことと運用できることの間には壁があります。その壁は技術力だけでなく、設計思想と組織運用でできているのです。
AIはその壁を消してはくれません。むしろ見えにくくなる可能性すらあります。
私たちはいま、AIのハルシネーションを議論するようになりました。しかし同時に、AIを崇拝した人間のハルシネーションにも向き合う必要があります。
便利な道具を前にしたとき、理解したと錯覚する自分たちの傾向です。
そこを直視しない限り、同じ失敗を繰り返します。
では、具体的にどう振る舞うべきか。非エンジニアがAIと対峙する際に守るべき3つの防衛ルールを提唱したいと思います。