米アンソロピックのダリオ・アモデイ共同創業者兼CEO(1月20日、スイスのダボス会議で、写真:ロイター/アフロ)

なぜショックが起きたのか

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 いわゆる「クロード・ショック」(アンソロピック・ショック)と呼ばれる動きは、これまでソフトウエア開発で行われてきたID課金モデル(利用者IDの数に応じて課金するモデル)そのものが否定されたという話ではありません。

 結論から言えば、市場が見直しているのは課金の単位なのです。

 その本題に入る前に、株式投資をされている方ならご存知だと思いますが、クロード・ショックについて少し触れておきましょう。

 米Anthropic(アンソロピック)の生成AI「Claude(クロード)」の最新バージョンである「Claude Opus 4.6(クロード・オーパス4.6)」の提供が2月5日(米国時間)に始まると、SaaS(Software as a Service=インターネットを介してソフトウエアを提供するサービス)企業の株価が暴落しました。

 米マイクロソフトや米セールスフォースなどのソフト大手をはじめとして、その関連企業やSaaSに投資している投資会社などにも影響が拡大、一時1兆ドルもの時価総額が吹き飛んだと報道されています。

 その理由は、最新版のクロードがAIエージェントとして極めて優れているため、ソフト開発や実務を劇的に効率化しソフト開発会社にとっては「売り上げの元となる顧客企業に提供しているID数」が奪われるに違いないとの思惑からでした。

 しかし、果たしてその思惑は正しかったのでしょうか。それが今回の本題になります。

 顧客企業の利用者数に紐づくID課金から、AIエージェントが実行する仕事量に紐づく課金へと重心が移りつつあります。

 その変化が、これまでの売上予測モデルの前提を揺らしているのです。これまでSaaS企業は、顧客企業の社員1人につきいくらというID課金で安定した収益を見込めました。

 顧客企業とその社員数が増えれば売上高も伸びるという、比較的読みやすい構造です。投資家もその前提で企業価値を評価してきました。

 この前提が崩れるのではないかという懸念が、株価に反映されていると見るのが自然です。