ただ、安倍氏の「女性天皇」についての考え方は、その後、変化した可能性があります。“最側近”とされた元NHK記者の岩田明子氏は、その著書などで、生前の安倍氏は後年、「女性天皇を容認していた」と証言しているのです。その真意は不明ですが、愛子さま(敬宮内親王)も24歳。結婚して皇室を出られるとなると、もう皇族には戻れないという切羽詰まった状況があったのではないかと推察されます。
私は、次代の天皇は「直系」である愛子さま(現在は、皇太子は存在せず、秋篠宮が「皇嗣」として、皇位継承順位の最上位にあります)が継ぐのが、一番歴史的にも穏当だと考えています。
皇位継承で秋篠宮に次ぐ第2位は悠仁さまで、愛子さまは皇位継承者には含まれていません。ただ、皇室の長い歴史を見れば、「男系男子」しか天皇として認めないという方針を決定したのは1889年(明治22年)に旧皇室典範が公布されて以降のことで、それ以外によりどころはありません(1947年[昭和22年]施行の現皇室典範もこれを踏襲)。「男系男子」であることはもちろん大事ですが、「直系」もきわめて大事なのです。
天皇家の存続を考えると、女性天皇を認めるだけでなく、天皇になる権利をもつ宮家を増やすことも考えねばなりません。そのための議論にすでに20年ほどの月日を要したのですから、まず「直系を大事にする」という方針だけでも高市氏は決定し、それ以外の制度改正には時間をかけるというのが穏当ではないでしょうか。
靖国参拝に特に積極的な清和会所属議員
問題は、日本会議やその応援を受けている議員が多い清和会のメンバーが「女性天皇」に反対していることです。安倍氏が容認したという証言があっても、それだけでは、愛子天皇案は前進しません。
とくに私が心配するのは、清和会の歴史観と皇室の歴史観が微妙に違う点です。
それがハッキリするのが、靖国神社参拝問題でした。
A級戦犯が合祀(ごうし)されるようになって、昭和天皇は、靖国神社への参拝を一切しなくなりました。これは、現上皇、そして今上天皇も同じです。
一方、現役の首相としては、小泉純一郎氏が在任中には毎年8月15日に参拝、安倍首相も2013年12月に一度参拝しています。ともに清和会出身の首相です。
首相以外でも、清和会の議員・閣僚たちの参拝が目立ちます。
稲田朋美氏、萩生田光一氏、西村康稔氏、末松信介氏、山谷えり子氏、高鳥修一氏、松野博一氏、世耕弘成氏、下村博文氏など、閣僚級の大物が参拝しています。そしてかつて清和会に所属していた高市早苗氏も参拝しています。
昨年8月15日の終戦の日に靖国神社を参拝した高市早苗氏。自民党総裁となってから迎えた秋の例大祭に際しては参拝を見送った(写真:共同通信社)
一方、岸田文雄氏(宏池会)は、「真榊」を奉納する形を継続的に採用してきました。
菅義偉氏(無派閥)は玉串料などを代理奉納。石破茂氏は、岸田氏と同じ方法をとっています。