皇室典範の改正については、昨年5月27日、都内のホテルで、自民党の麻生太郎、立憲民主党の野田佳彦の両氏が、衆議院の正副議長を交えての会談で、相当の進展があったという情報があります。

 麻生氏と野田氏はここで、女性皇族が婚姻後に皇族の身分を保持する案で合意し、6月3日の次回協議で、「取りまとめ案」が示され、両党での党内手続きに入ることまで決まっていたのです。

 が、突然、内閣官房参与(皇室制度連絡調整総括官)の山崎重孝氏が合意内容を自民党に伝えた結果、自民党は女性皇族の婚姻後残留だけでなく旧宮家養子案も組み込んだ「取りまとめ案」を示しました。そのため、解決すべき問題が複雑化し、議論はいったん決裂してしまったと。

清和会は天皇の「男系継承」維持を重視

 一方、高市首相は以前から、「女性天皇は容認する」と公言していました(女系天皇は反対)。しかも、2024年の共同通信の調査では「愛子天皇」を容認する声が90%を超えています。女性天皇への道を開くこの「とりまとめ案」を、まず実現し、将来的な皇室の設計図の検討を後回しにすれば、高市氏は、首相の座のみならず、天皇についてまで“ガラスの天井”を破る、歴史的レガシーを実現するチャンスなのです。

 ただし、問題は高市政権の後見人であった麻生太郎氏が、一度、この案を潰したことです。高市氏が後見人を裏切ってまでも、「とりまとめ案」に舵を切り、「愛子天皇」実現への道を開くのか否か。私は彼女の過去の行動や、今回、突然の解散を麻生氏にも伝えなかったという点からも、腹を決めれば、麻生氏の意向を無視すると睨んでいます。

 しかし、問題はそれだけではありません。今回、大量に復活した清和政策研究会(清和会、旧安倍派)のウラ金議員の多くは「男系男子」の天皇しか認めない考えの持ち主が多いことです。その背景には、旧安倍派の大きな後ろ盾であった「日本会議」が男系男子しか認めない立場を主張していることです。

 実際、高市氏の師匠ともいうべき安倍晋三元首相は、小泉純一郎内閣で女性天皇容認の考えを打ち出したとき、官房長官として、この動きを抑えた過去があります。

 また、日本会議の活動を支える「日本会議国会議員懇談会」には、安倍氏が率いていた清和会のメンバーの多くが所属しています。

 安倍晋三氏はもとより、下村博文元文科相、稲田朋美元防衛相、萩生田光一元経産相、西村康稔元経産相、世耕弘成元経産相、山谷えり子元拉致問題担当相、古屋圭司元国家公安委員長、などです。そして高市首相自身も1996年から2011年まで清話会に所属していたうえ、同懇談会の副会長を務めていました