在韓米軍司令官、日韓比の新たな「戦略的トライアングル(三角形)」を提案

 ブランソン司令官の提案は、前述の通り、米国と中国の大国間競争が激化する情勢を踏まえ、米国がインド太平洋の同盟国に集団防衛の強化を求め、在韓米軍の戦略的柔軟性を重視する中でなされたものだ。

 ブランソン氏は、下記の地図を示し、インド太平洋を通常の北向きの地図ではなく「東向き」の地図で見ると、この地域の戦略的視点は「劇的に変化する」とし、米国とその同盟国にとって見落とされていた戦略的優位性が明らかになる可能性があると指摘している。

出典:在韓米軍提供の地図を基にインド太平洋防衛フォーラムが翻訳補正
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 ブランソン司令官が指摘する「戦略的トライアングル(三角形)」の戦略的優位性を要約すると次の通りである。

●米軍は潜在的な紛争地帯に到達するために、広大な距離を越えて戦力を投射しなければならない。

 しかし、在韓米軍(約2.9万人、在日米軍は約6万人)は、危機や有事の際に米国が突破する必要のある紛争境界内に既に展開している。

 この戦略的配置によって、距離を障害から利点へと転換し敵にコストを課すことができる。

●韓国は、地域構造における戦略的な奥行きと中心的な位置づけを提供し、ロシアと中国の両軍に対するコスト付与能力という利点も備えている。

 日本は高度な技術力を提供し、太平洋航路沿いの重要な海上チョークポイントを掌握している。

 フィリピンは南方へのアクセスポイントを提供し、太平洋とインド洋を結ぶ重要な海上航路を掌握している。

 この3カ国が協力し、三角形の戦域内で適切に部隊を配置して統合ネットワークを構築すれば相互補完的な能力を提供することができる。

●朝鮮半島は、北のロシアからの脅威に対処すると同時に、朝鮮半島と中国の間の海域における中国の活動に対して西側からの影響力を発揮できる位置にある。

 この戦略的位置から、朝鮮半島がロシア艦隊の動きを制限するとともに、中国の北部戦区軍だけでなく北方艦隊にもコストを課すことができる。

 朝鮮半島は、両隣の海域における敵対的な作戦に影響を与え、重要な戦略的潜在力を示す役割を浮き彫りにする。

●米第8軍司令部があるキャンプ・ハンフリーズ(平沢基地、在韓国京畿道平沢市)は、潜在的な脅威(中国)に極めて近い。

 また、首都ソウル南方のオサン(烏山)空軍基地は、複雑な戦力投射を必要とする遠方の基地ではなく、これらの近接性は中国国内あるいは周辺地域に直ちに影響を及ぼすことができる。

 このように、ブランソン司令官は朝鮮半島を米国、中国、ロシア、北朝鮮の相対的位置関係における中心に位置づけ、その地理的優位性と脅威対象国への近接性ならびに日韓比の相互補完的な能力を活用した戦略的三角形の協力を促進すれば、中国に対する戦略的優位性を獲得できると主張しているのだ。