米国を中心とした日韓比「戦略的トライアングル」+台湾の追求を!
今年1月、韓国を訪問したエルブリッジ・コルビー米国防次官(政策担当)は、米国のインド太平洋戦略は第1列島線(FIC)における拒否的抑止に焦点を当てているとし、日本、フィリピン、朝鮮半島における強靭な部隊の育成の必要性について言及した。
その目標は、中国に対しFIC全体にわたる侵略は魅力的な選択肢ではないことを納得させることだと述べ、在韓米軍(USFK)の任務を中国が関与する事態を含むように拡大する取り組みの一環として、中国への対抗を強調した。
しかし、在韓米軍の戦略的柔軟性に関する韓国の反応は複雑である。
少なくとも過去20年間、韓国にとって中国は最大の貿易相手国であり、外国直接投資(FDI)の最大の投資先の一つでもある。
こうした経済的理由や隣国同士、歴史的親和性などの理由から、韓国の指導者たちは概して中国との建設的な関係構築を目指している。
しかし、2017年の米軍の最新鋭迎撃システム「THAAD(終末高高度防衛ミサイル)」の韓国配備に対し中国の報復が長期化したように、時として、中国政府は韓国政府の政策選択に対し韓国企業に経済制裁を課すことがある。
韓国の李在明大統領は、韓国と中国は「避けられない絆」を共有しているものの、韓国は「米国の対中政策の基本姿勢に反する行動や決定をすることはできない」が、「韓国は中台紛争への関与は回避すべきだ」とも述べており、政治・外交的に難しい舵取りを迫られている。
在韓米軍は、主として北朝鮮の地上侵攻への備えを重視する観点から、ロシアの地上侵攻に備える在欧米軍と同じように「空地戦(Air-Land Battle)」の態勢を採っている。
その戦力は、主に地上作戦に最適化された1個師団(第2歩兵師団)と1個空軍(第7空軍)で構成されている。
一方、インド太平洋戦域では、その特性上「空海戦(Air-Sea Battle)」が重視されており、黄海から東シナ海、南シナ海の戦いに不可欠な海上戦力(海兵隊を含む)を欠いている。
そのため、在韓米軍の戦力構成の見直しや削減が行われる可能性がある。
現在、韓国軍は戦時において、国連軍および米韓連合軍司令官等を兼務する在韓米軍司令官が率いる二国間司令部の下に置かれている。
それを韓国軍が主導し米軍が支援する新たな共同防衛体制へ移行するため、米韓両国は2006年以来、戦時作戦統制権(OPCON)を韓国軍司令官と米国軍副司令官が率いる二国間司令部に移管する準備を進めている。
李在明大統領が退任予定の2030年までに移管を完了させる計画のようであるが、その実現には韓国軍の飛躍的能力向上が求められる。
近年、日米韓の安全保障協力の強化と日米比の戦略的トライアングルの推進が併行して進められている。
これを、米国を中心とした日米比の戦略的トライアングルに拡大・発展させるのはより望ましい方向であり、そのためには、前掲の諸課題の解決とともに、特段の外交的努力が求められる。
願わくは、さらに高い外交的ハードルを乗り越え、日米比の戦略的トライアングルに最大の当事者である台湾を加えることができれば、中国に対する戦略的優位性はさらに高まろう。
その結果、中国の攻撃を物理的に阻止・無力化する能力を示し、「攻撃しても目的を達成できない/失敗する」と思わせることで、攻撃そのものを思いとどまらせる拒否的抑止を達成することができるのではないだろうか。