反発する欧州は米債売却の奥の手に出たか?
ルビオ国務長官が欧州に秋波を送る前より、ベッセント国務長官は言葉を選びつつも、トランプ政権の軌道修正を図るようなコメントを金融市場向けに発している。とりわけベッセント財務長官は、米債の需給緩和に危機感を強めたようだ。その直接的なきっかけは、グリーンランドの領有を巡る米欧の対立にあったとみられる。
年明け早々、トランプ政権はグリーンランドの領有をめぐってデンマークを中心とする欧州に圧力をかけた。反発する欧州は、その際に保有する米債の売却を進めたと考えられる。この動きを定量的に掴むためには米財務省が公表する国際証券投資統計(TICデータ)が有用であるが、直近は2025年11月の末残であるため確認ができない。
一方、年明けにスイスでダボス会議に出席していたベッセント財務長官が、欧州による米債売却に関する火消しに追われたのは事実だ。またその直後に、軍事活動をチラつかせていたトランプ政権は、デンマークの領有に関する矛を収めている。欧州による米債の売却が加速し、米国の長期金利の急騰につながる展開が意識されたためだろう。
タイミングが悪く、高市早苗首相が解散総選挙に踏み切ったことで日本発の長期金利上昇圧力が生じたこともベッセント財務長官を焦らせたと考えられる。余計なノイズを生じさせないよう、ベッセント財務長官が片山さつき財務相にクギを刺した節もある。いずれにせよ、米債の需給が緩和し金利が急騰しないように、米国は姿勢を改めた。
注目された連邦準備制度理事会(FRB)の次期理事長にタカ派のケビン・ウォーシュ氏が就任することもあり、米国の長期金利は一方的な上昇に歯止めがかかっている。とはいえ欧州では、デンマークやスウェーデンの年金基金が相次いで米債の売却を進めている。ベッセント財務長官の火消しだけでは欧州が抱く深刻な対米不信は和らがない。