米国の圧力に耐性をつけてきた各国

 また、トランプ政権による外交が効果的に機能していない点も意識される。中国を最大の敵国とみなすトランプ政権は、経済面と政治面でも中国に対して圧力を加えている。対する中国もこれに屈せず、米国に対して有形無形の対抗策を取っている。中国籍の投資家が米債の保有を段階的に手放していることが直近では話題となっている。

 トランプ政権は米国と各国の相互依存関係の見直しを図っているが、これまで築き上げた相互関係の深さを軽視する傾向がある。言い換えれば、国際公共財の需給関係に関して、供給側である米国が有利であるとの認識に立っている。しかし実際は、米国が国際公共財の供給を手控えれば、需要側である各国は米国への対応を変える。

 例えば、トランプ政権はロシア産原油を輸入するインドに圧力を加えたが、これは中国に圧力を加えるという観点からすれば正しい判断とは言えない。インドと中国は必ずしも良好な関係でないのだから、対中包囲網を形成するという観点からはインドは懐柔すべき相手となるためだ。圧力を加えればなびくという考えは大国志向を強めるインドにはそう簡単に通用しない。

 そのインドが欧州に接近したことで、米国はインドへの圧力を弱めるに至った。圧力を加えればなびくという姿勢にもかかわらず、日和見主義でもあるトランプ外交の在り方に、各国はある意味で耐性を付けてきたと言えよう。圧力を重視する今の戦術では、米国は各国に対して影響力を行使しづらくなっているのではないか。