「日中関係はさらなる衝撃に直面する」
虎嗅というニュースサイトでは、IPP研究所(公共政策研究所)の研究員、徐偉鈞の寄稿を紹介。「これまで高市氏が台湾問題に関する誤った発言により日中関係が緊張状態に陥っていたが、今回の選挙結果による政治構造の変化は、今後しばらくの間、日中関係がさらなる衝撃に直面する可能性が高いことを示唆している」と日中関係の悪化を予測するとともに「自民党の大勝は、高市早苗が比較的安定した強固な政権を築くことを意味する」として、高市政権長期化を予測していた。
さらに、次のように解説した。
「今回の衆議院総選挙の選挙運動期間中、高市は再び台湾問題に関し妄言を吐き、台湾で重大な危機が発生した場合、日本は現地の日米市民を救援しなければならず、日米は共同行動を取る必要があると主張した。同時に、共同行動中に米軍が攻撃を受けた場合、日本が同盟国を見捨てることはあり得ないと述べた。この発言は、いわゆる台湾有事のシナリオ下で高市が積極的に介入する意図を浮き彫りにしただけでなく、意図的に米国を台湾海峡情勢に巻き込もうとする政治的思惑を露呈している」
「トランプ大統領の第二期政権下では、米国が台湾海峡情勢に介入する意思に不確実性があるにもかかわらず、高市の発言は米国が直接事態に介入し、中国と衝突することさえ前提としている。これは実質的に日米同盟を台湾海峡に拡大させ、米国を意図的に台湾海峡情勢に巻き込もうとする動きだ。さらに、高市が米中対立を煽り、軍事大国化を推進しようとする野心を露呈している」
こうした中国メディアの反応をみるに、中国側は、これまでの自民党政治とは全く違う対中強硬政権が誕生したという強い危機感を持っているとうかがえる。また、高市首相のカリスマ性については認め、高市政権の長期化も覚悟しているようだ。高市人気の秘密が中国に対する強硬姿勢であることも認識している。
実際、高市自民圧勝の最大の功労者は習近平政権であることは間違いない。中国外交部や国防部が展開した下品なまでの高市バッシングプロパガンダ、訪日旅行自粛や対日デュアルユース輸出規制強化などの報復措置など、習近平政権が高市を嫌えば嫌うほど支持率が上がるという現象が起きたのだから。
ただ、選挙結果が判明したのちの中国外交部の公式の反応は、11月の高市発言の撤回を繰り返し求めたぐらいで、習近平政権による高市政権に対する猛攻撃開始の号令は、まだ出た様子はない。1月6日に発表されたレアアースなどを含むデュアルユース製品の対日輸出規制強化の通達も、投票前の2月6日の段階で、実は当初に予測されたとおりに実行はされておらず、レアアース対日輸出許可が通常どおり出ていた例が確認された。
中国が対日強硬姿勢の逆効果現象を認識しているとしたら、高市自民圧勝後、対日強硬姿勢をどれほどエスカレートさせるかはまだ、決めあぐねているのかもしれない。