突如、「嫌な思いをさせたこと、ほんとに申し訳ない」

 会議の冒頭は中川が仕切りはじめた。ところが、途中から今回の食事会の提案を断ったことに触れ、私と意思疎通が取れないと選対委員長が言い出した。その上で「青沼さんには、私に対して面白くないことがあったのだろう」と推測って、こう述べた。

「ぶっちゃけ言って欲しいんですよ」

「何が気にいらないのか、教えてもらわないと対応のしようがない」

 私は中川県連代表の顔を見た。そして、言ってもいいか、と確認した。中川は間を取り持つように「いっぺんあんたの感じとることをちゃんと説明して……」と穏やかに言うと、Fが「本音を言って欲しいんです!」と強く言い出した。

「では、言います」

 私はそう断って、あの歓迎会からはじまるこれまでのことを指摘した。なにより、私のスタッフにまで暴言を吐くことが許せなかった。私に対しては「お前」呼ばわり。それでいて、他の議員や支援組織、組合関係者には満面の笑みで愛想よく振る舞う。明らかに対応が違っていた。彼のしていることは、少なくとも私の培った常識からすれば、ハラスメントであり、差別であると指摘した。

 よそ者に対する排除の理論。常識はずれと罵って追い出そうとする心理。政党や連合が掲げる理論にも背く、有権者を欺く行為。それがどこまで伝わったか、定かではない。だが、相手は手を震わせながら聞いていて、こう言ったのだった。

「嫌な思いをさせた、ということについては、ほんとに申し訳ないと思います」

「私は決して悪気があってそういう言い方になってしまったという思いはまったくないんで、申し訳なかったと思います」

 これまでのことを詫びるものだと受け取った。

 選対のメンバーで、国民民主党系の県議に酒に誘われたのは、その数日後のことだった。「話は聞いた」と前置きがあって、選対委員長から私との仲を取り持ってほしいと頼まれていた、と言った。

「言うべきことを言ったのだから、これでノーサイドな。遺恨を残したらいかんよ。これで選挙に向かっていこうな」

 もとより私はそのつもりだった。

(文中一部敬称略)

*<【衆院選出馬顛末記4】健闘するも次点、そして立憲の県連幹事長は言った「次回衆院選では青沼さんを擁立しません」>に続く