おかしな話だった。どういう活動をしていくのか、計画書は示してある。「やっていい」というから、その通りにしているだけのことだ。決してサボったり、遊んだりしているわけではない。伊勢市をはじめ選挙区内の住宅を一軒一軒まわってあいさつまわりもしている。毎日動いている。それに彼らはこうはっきり言っていた。
「お前が率先してやる気を見せたらな、みんな黙ってお前についていくわ!」
だからやっている。だが、誰もいっしょにやろうとも言ってこない。それでいて、「何をやっているかわからない」はなかった。
「何が『皆さんの声を聞かせてください』だ」
挙げ句の果てに、毎日の活動を選対のグループラインで報告するように求めてきた。
その提案には反対だった。というのも、最初に選対会議が立ち上がったときに、SNS戦略をどうするか、議題にあがったことがある。その時に、私は尋ねた。
「少子高齢化が問題となっているこの地域で、いったいどれだけの有権者がSNSを見るのですか。それが有効な戦略と言えるのですか」
都市型の選挙の状況とは違うはずだ。
一様にみんな黙ったが、それでも選対のメンバーは候補者がどんな活動をしているか知りたいから、やらないよりはやった方がいい、という意見が出て運用することになった。ところが、その公式アカウントをみると、フォロワーが選対のメンバーの数より少ないのだ。もとより関心がないのだ。その上で毎日のライン報告など、スタッフの負担が増えるだけだったし、あまり意味のあることでもなかった。
まるでいっしょに活動する支援組織というよりも、監視団体のような様相だった。
ある日は前日入りで熊野市にでかけ、早朝の幹線道路に立って手振りをしていたことがあった。それを見た人から聞かされたことが気に食わなかったのだろう。熊野市が地元の選対委員長のFは、なんで事前に連絡がないのか、苦言を呈してきたことがある。
それどころか、日に日に選対委員長の暴言が増してきた。
演説で私が「皆さんの声を聞かせてください」と訴えようものなら、
「何が『皆さんの声を聞かせてください』だ」
と、あとで私に聞こえるように嫌味を言う。そんなことは聞くまでもなく自分で調べろ、と言いたかったようだ。
演説をしても「長いわ!」とクレームがつく。2024年の連合三重の旗開きの時には、壇上で挨拶をしているとFが聴衆の中から、両手を左右に広げながら指先を閉じるポーズをとってみせた。テレビ業界でいう「時間を延ばせ」「もっと引っ張れ」の合図だった。私はその通り延ばした。すると、あとで「話が長い」と文句をつけてきた。「合図を出したのに見ていなかったのか」とまで言う。ひょっとしてあのポーズは「長い」という合図の勝手な思い込みだったのか。悪意がないにしても、あまりにも迷惑な話だ。