記念切手の図案としてもおなじみ《月に雁》
歌川広重《月に雁》中短冊判錦絵 天保3-6年(1832-35)頃 RISD美術館蔵 Courtesy of the Museum of Art, Rhode Island School of Design, ProvidenceGift of Mrs. John D. Rockefeller, Jr.
広重の花鳥画で最も有名な作品といえば《月に雁》だ。大きな月とその下にたなびく雲を背景に、3羽の雁が下降する。賛は「こむな夜か 又も有うか 月に雁」。意訳すれば、「地上に舞い降りる三羽の雁が月明かりに照らし出される。このような美しい夜がまた来るだろうか」といったところだろうか。広重は秋の月夜の美しくもどこか寂しげな抒情を優美に表現している。
《月に雁》は1949年の郵便週間に記念切手の図案に採用され、その希少性から切手コレクターの間で今も高値で取引されている。そんなエピソードも手伝って広重の花鳥画では《月に雁》が群を抜いて有名だが、ほかにも名品は多数。晩春の木蓮の枝に文鳥が止まり、ベロ藍で摺られた空を見上げる《木蓮に文鳥》、姫海棠の赤い実のまわりを燕たちが飛び交う《姫海棠に群燕》、餌を見つけたのか空から水面へ川蝉が一直線に降下する《花菖蒲に川蝉》、高貴さの象徴とされた花と動物を組み合わせた《牡丹に真孔雀》。歌川広重はこうした短冊版を中心に生涯で約1000点の花鳥画を手がけたといわれている。
歌川広重《雪中椿に雀》大判短冊錦絵 天保3-6年(1832-35) RISD美術館蔵 Courtesy of the Museum of Art, Rhode Island School of Design, ProvidenceGift of Mrs. John D. Rockefeller, Jr.
花鳥画にも才を発揮した北斎と広重。では、どちらの花鳥画が素晴らしいか。造形のおもしろさに惹かれるか、それとも風流な趣を気に入るか。答えは人それぞれだろうが、アビー・オルドリッチ・ロックフェラーは広重を贔屓にしていたらしい。700点余りのコレクションのうち、約300点を広重作品が占めている。
「ロックフェラー・コレクション花鳥版画展 北斎、広重を中心に」
会期:開催中~2026年3月1日(日)
会場:千葉市美術館
開館時間:10:00~18:00(金土は〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜(祝日の場合は翌平日)
お問い合わせ:043-221-2311
https://meets.naked.works/gaudi/




