どれくらいの金額が支給される?

 では、傷病手当金はどれくらい受け取れるのでしょうか。

 傷病手当金の支給額は「支給開始日以前12カ月間の各月の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3」で計算されます。支給期間は同一の病気やケガについて支給を開始した日から通算1年6カ月です。

 例えば、Oさんの場合、標準報酬月額が44万円です。仮に30日間分の傷病手当金を受け取ると仮定すると、

・日額:44万円÷30日×2/3=9780円
・月額:9780円×30日=29万3400円

 となります。

 一見すると、給与の3分の2程度が受け取れるように見えますが、しかし、ここに落とし穴があるのです。

傷病手当金受給中も社会保険料、住民税の支払い義務がある

 傷病手当金は、給与所得とは違い、「給付金」であるため、所得税や住民税の課税対象にはなりません。

 ただし、傷病手当金受給中であっても、会社に在籍している限り社会保険料の支払い義務は継続します。これが手取りを大幅に減らす主要因の一つです。健康保険料や厚生年金保険料の支払いはありますし、40歳以上であれば介護保険料も支払います。ただし、雇用保険料は休業期間中に賃金の支払いがなければ支払わなくてよいことになっています。

 では、Oさんの場合、どれくらいの社会保険料を支払わなくてはならないのでしょうか。

●標準報酬月額44万円の場合の社会保険料(東京都、令和7年度で試算)

健康保険料:44万円×9.91%÷2=2万1802円
厚生年金保険料:44万円×18.3%÷2=4万260円
介護保険料(40歳以上):44万円×1.59%÷2=3498円
合計:6万5560円(40歳以上の場合)
※社会保険料は労使折半のため、上記は被保険者負担分

 また、傷病手当金からは自動的に社会保険料が天引きされないため、以下の方法で支払う必要があります。

・会社が立て替えて後日精算
・銀行口座からの自動引き落とし
・会社指定口座へ振込 など

 Oさんの場合は、会社指定口座へ毎月振込むことになっているようです。

 さらに、社会保険料に加えて、住民税も傷病手当金受給中に支払わなくてはなりません。というのも、傷病手当金は、非課税ではありますが、住民税は前年の所得に基づいて計算されるため、現在無収入や減収状態でも支払い義務があるからです。Oさんの場合、住民税の月額は2万円程度です。