与党が勝っても負けても日本国債売り

 日銀と財務省による対応を受けて選挙戦を乗り切ったとして、与党が勝利しても敗北しても、金融市場の混乱は続くと考えられる。与党が勝利した場合、消費減税が実施されるのみならず、財政拡張が強化される可能性を意識する。つまり“日本売り”が生じるだろう。反対に敗北しても、政局混乱が嫌気された日本売りが生じるのではないか。

 高市総理が掲げる消費減税が、実は主要な与野党が訴える消費減税のプランの中で最も控えめであることも、混乱に拍車をかけるものだ。そもそも消費減税に踏み込めば、その程度がどうだろうと、外国人投資家は日本国債を売却する。外国人投資家による日本国債の保有比率は10%強だが、売買となるとシェアの5割に迫る勢いだ。

 問題は消費減税そのものであり、その程度ではない。与党が敗北すれば、むしろ消費減税が強化される恐れが出てくる。この点、与党である自民党だけの問題ではない。最大野党の中道改革連合をはじめ、国民民主党などの野党は一様に減税を訴える。今回の金融市場の混乱のトリガーを引いたのは総理だが、そもそも野党に大きな責任がある。

 とはいえ、そもそもトラスショックの意味を学んでいたなら、高市総理が自らトリガーを引くこともなかっただろう。トラス元首相の場合、金融市場の混乱を受けて与野党の議員が一斉に反発、さらに庶民院(下院)を解散していなかったことから、早期での辞任というかたちで事態を収束できたが、高市総理は衆議院を解散してしまった。

 そして衆院選の結果を受けて、与党が勝利した場合、国民の信任を得たとして、政権が財政拡張路線に突き進む恐れが意識される。当然、国債市場や為替市場では“日本売り”が加速しよう。株価は急騰するかもしれないが、これは日本買いではなく、国債と通貨の信用力の低下に伴う、極めて残念なインフレヘッジに過ぎない。