ライフプランナーは本当に「プロ」だったのか?
これらが不祥事を招いた大きな原因だと考えられるが、今回の件では問題の核心に、理念とシステムの矛盾があったことは見逃せない。
プルデンシャル生命では営業に携わる社員をライフプランナーと呼び、客の一生涯にわたって寄り添う「生命保険のプロフェッショナル」を看板に掲げている。
では、本当に彼らはプロフェッショナルだったのだろうか?
プロフェッショナル(プロフェッション)とは本来、医師、弁護士、科学者などの職種を指す。これらの職種では自律性や社会的地位、相対的に恵まれた報酬が与えられている一方で、大きな社会的責任や要件が課されている。
具体的には高度な専門的知識・技術を有していることに加え、倫理的規範に従うことや、能力的・倫理的基準を維持するための職業団体が存在することなどがプロの要件とされる。そして倫理的規範の中には、個人の利益よりクライアントの利益を優先することが含まれている(拙著『プロフェッショナルと組織』より)。
実際に医師や弁護士が、患者や依頼人の利益より自分の利益を優先して仕事をしたらどうなるか容易に想像がつくだろう。本人が法的、社会的な制裁を受けるだけでなく、医師や弁護士という職業そのものの信頼も大きく揺らぐに違いない。
それと同じように、ライフプランナーをプロフェッショナルと呼ぶ以上、法令を順守させることはもとより、顧客の利益を第一に考えて営業活動を行わせなければならない。
今回の件では、もしかすると社員がプロフェッショナルと称されていたため、顧客は無条件に彼らの言葉を信じ、気を許してしまったかもしれない。だとしたら責任はいっそう重大だ。
それはライフプランナーという職種に限った話ではない。最近はプロフェッショナルという言葉が乱用され気味で、単にその道一筋でキャリアを積んだ者や、専門知識、問題解決力が優れている者をプロと呼ぶような風潮がある。中には組織の看板を利用してお金を稼ぐだけの「プロ」もいる。
少なくとも社会的責任を担う企業は、そうした世間の風潮とは一線を画す必要がある。プロフェッショナルの原点に戻ることによってはじめて、社会的な信頼とプロとしての社会的地位が得られるのだ。