
「営業活動に占めるセールス活動は1割程度に過ぎません」。こう語るのは、長年営業の現場を率いた経験を持ち、現在は大学で営業を研究している北澤孝太郎氏だ。人口減少や顧客主導の進展で、従来の営業観は通用しなくなりつつある。営業部門にはどんな変化が求められているのか。Japan Innovation Review主催のセミナーに登壇した、東京科学大学大学院特別研究員、東北大学未来型医療創造卓越大学院プログラム特任教授北澤孝太郎氏の講演を基に、営業の役割をどう再定義するべきかを考える。
「営業=セールス」という時代が終焉を迎える
営業の役割は、いま大きな転換点を迎えている。企業で長年営業の実務に携わり、現在は大学で営業の研究にも取り組む北澤孝太郎氏は、従来の営業観そのものを見直す必要があると繰り返し訴えてきた。
一般に営業活動と聞くと、顧客ニーズを丁寧に聞き取り、その要望に応える自社の商品やサービスを提案して売り込んでいくセールス活動を思い浮かべる人は多いだろう。しかし北澤氏は「営業活動に占めるセールス活動は1割程度に過ぎない」と述べる。
では、9割の部分は何なのか。北澤氏によれば「営業とはビジネスメイキングそのもの」だという。
北澤氏がこう主張する背景には、人口減少による需要縮小がある。人口が増え、需要が拡大していた時代には、経済は右肩上がりで成長し、周囲と同じことを効率よく行うことが合理的とされてきた。その結果、企業活動は細かく分業化し、「作る人」と「売る人」という役割分担が生まれ、営業の役割はセールス活動であるという認識が定着していった。
しかし、人口減少が進み、需要が縮小する中では、今までと同じやり方では通用しない。求められるのは、他社との違いを鮮明にし、自社が実現したい価値を体現する商品やサービスをつくり出すことだ。
さらに、その価値に共感を得られるよう、社員一人一人が行動していくことが重要となる。そして、その共感を基に、企業と顧客の双方にとってより良い形を見つけていく。こうした一連の取り組みを通じて「新しい価値づくり」を実現することこそが、北澤氏のいう営業行為ということになる。







